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記者の眼

ある日突然ADSLが・・・ベスト・エフォートへの不安

小松原健 2003/01/22 ITpro

 IP電話サービス,ホーム・サーバー,ビデオ・レンタル,プッシュ・サービス・・・。500万を超え,いまなお月間30万以上増えているADSLユーザーをにらみ,魅力的なサービスや製品が次々に登場している。しかし,忘れてはならないのは,インターネット接続サービスの大半はベスト・エフォート・サービスである,ということだ。

 特にADSLサービスの場合,アクセス回線の伝送品質という大きな不安要素が絡んでくる。さまざまな技術を駆使して,電話用の銅線に大量のデータを詰め込んで伝送しているため,いろいろな条件によって品質が大きく変わってくる。このため,サービスを導入する家庭とNTT局との距離や銅線の状態,それに雑音源などによって,ADSLがつながるかどうかや得られる速度が大きく違ってくる。しかし,いったん開通してしまえば“つながっている”のが当たり前になる。開通時の不安は忘れてしまう。

 その当たり前となったブロードバンド環境をベースに,製品やサービスを導入し,生活スタイルも変わってくる。ところが,ADSLは現在接続できていたとしても,ある日突然つながらなくなる可能性がある。ユーザー側や事業者側,それと加入者回線のそれぞれの環境が変わり,それまで得られていた速度が出なくなったり,最悪,接続できなくなったりする可能性がある。その場合でも,ベスト・エフォート・サービスである以上,事業者側は元通りにしてくれる保証はない,という現実がある。

 筆者は,この「突然ADSLがつながらなくなった」ユーザーの1人である。2001年11月にADSL1.5Mを導入し,2002年10月のある日,ADSLがつながらなくなった。そのときには,ホーム・サーバーなどを導入しているわけではないが,Webアクセスやメールなど,家族も日常的なツールとなっていた。このため,かなりの不便さを味わうことになった。

 現在,情報通信審議会のDSL作業班が,ADSL干渉問題について議論を重ねている(関連記事)。もちろん,それが大事であることはよく分かる。だが,「ある日突然ADSLがつながらなくなった」経験をした筆者は,今,議論されている干渉問題は“高級過ぎる”と感じてしまう。そのようなレベルの調整だけではADSLへの不安はほとんど解消されない。

 ある日・・・

設定などを一切変更していないのに突然使えない状態に

 2002年10月7日,ADSL1.5Mサービスを利用し始めてから,約1年がたっていた。午後10時過ぎに帰宅したら,ADSLモデムのリンク・ランプが点滅している。早速パソコンを起動してモデムのログを見てみると,ADSLリンクの確立(トレーニング),失敗を繰り返している。

 ときに,ADSLリンクが確立し,ユーザー認証(CHAP)成功まで達することがある。しかし,その場合も,1秒~数十秒でリンク・ダウン。自分自身,モデムをはじめ,設定や接続など,一切変更していない。「ネットワーク側になにか障害が発生しているのだろう。放っておけば直るだろうと思い,様子を見ることに。

 その日の深夜は,頻繁にリンクが切れるものの,10分間くらいつながることもあり,なんとかメールを読むなど,必要最小限の作業はできた。リンク速度は従来よりも約3割ダウン。ちなみに,我が家は,NTT局からの線路長5km強で,リンク速度は700kビット/秒強であった。

 10月8日,さらに症状が悪化。モデムが接続,切断の繰り返しを忙しく実行し,完全に使えない状態に。メールを読むのに,ダイヤルアップ接続するしかなくなった。これは,ただごとではない。

 10月9日に,ようやくISPに電話。本当は,リンク・レベルの問題なので,直接ADSL事業者に電話したいところだが,ISPが窓口になっている。ここからが大変であった。
ISPに問い合わせるも埒が明かず。結局,自分で調べることに

 ISPの担当者に症状を伝えると,モデムやパソコンを設置や接続の状況を聞かれた。こちらからすれば,問題がなかったときとなにも変わっていないのに,と自分に言い聞かせつつ答える。しかし,パソコンのOSまで聞かれたのにはさすがにまいった。

 また,「加入者回線の近辺で,工場が建ったり,沿線道路の交通量が増えたりという変化はないか」と聞かれたものの,回線がどこを通って自宅まで来ているか分からない。とりあえず,そのような大きな環境の変化はないと答える。こういった“手順”を踏んで,ようやく本題に入った。

 従来通りの環境で,突然,おかしくなったのだから「モデムが故障したのではないか。調査してほしい」という希望を伝えた。自宅に設置してあるモデムと局側のモデムの調査である。残る1つの要素に,加入者回線がある。しかし,これは調べるとなると大掛かりになりそうなので,最初からあきらめることにした。というか,両端のモデムがおかしくなければ,原因は回線にあると考えることにした。

 これに対しISPの回答は「ADSL事業者からモデム異常という報告は入っていない。ユーザー側のモデムの調査はしない」。そして「帯域調整ならする」と。帯域調整とは,通信に使う周波数帯域を絞るなどの調整をして,ノイズの影響を受けにくくして接続だけは可能にしようというもの。当然,ほとんどの場合,速度は下がる。

 どこかの故障している個所を直せば元通りに使えるかもしれないのに,と考えるといきなり調整というのは避けたい。調整後,接続できるようになったものの,速度に不満があったら,そのとき改めて相談してほしいという。

 といっても,答えは明らか。調査はしないのだから,ADSLの契約を解除するという選択肢しか残されていない。局側のモデムや自宅のモデムの調査を依頼しても応じてもらえない。原因の調査は最初から手順に入っていないのである。こうなったら,自分で調べるしかない。

別のモデムでは見事にリンク,原因はモデムの故障だったと思ったら・・・

 自分で調べるといっても,できるのは,ADSLモデムが正常かどうかを調べることだけである。手っ取り早いのが,ほかのモデムをつないでみてリンクが張れるのかを試す方法。ISPに頼んでもモデムは貸してくれない。幸い,編集部にはADSLユーザーは多い。同じADSL事業者のユーザーで,8Mに移行した記者から,1.5Mモデムを借りることにした。

 10月11日夜,借りてきたモデムを回線につないでみた。見事にリンク!従来とほぼ同じリンク速度で安定して接続できた。念のため,従来のモデムをつなぐと,リンク→切断の繰り返しで従来通り。「やっぱりモデムが故障していたんだ」

 10月12日,ISPに「モデムを変えたら安定して接続できた」と伝えた。だから,モデムを取り換えてほしい,と。ISPは,ADSL事業者に聞いてみないと分からない,と言っていったん電話を切った。

 10月13日。ISPから電話があった。「お客様がつながったというモデムは,機種が違いますね」。確かに,機種は違うが,どちらもそのADSL事業者がレンタルしている1.5Mモデムである。しかし,機種が違う以上,その実験は“無意味”という主張。話は,振り出しに戻り,帯域調整をする/しないになった。私は,ここまで来たら,同じ機種のモデムで試すしかない,いや試してみたいと考え,その旨をISPに伝えた。とはいえ,ISPはモデムを貸してくれない。自分で探すしかない。

 10月27日。ようやく同じ機種のモデムを借りて実験することに。ちなみに,接続実験後,モデムを借りたままで,快適にADSLを使えていた。やっと“モデムの故障”を証明できると思いながら,回線につないでみる。すると,従来のモデムと同じ症状であった。モデムが故障したわけではなかったのである。

ベスト・エフォートの限界――とてもデリケートなADSL

 結局,リンクできなくなった原因は分からずじまい。ただ,言えることは,モデムの機種や相性によって,接続できる/できないというレベルの大きな違いが生じることである。例えば,ADSL事業者側はいろいろな理由によってモデムを入れ替えやファームウエアのアップデートなどを実施する。そのことによって,従来の通信が維持できなくなる可能性がある。しかし,これは故障ではない。ISPやADSL事業者は一応の対応はしてくれるものの,原因の調査といった踏み込んだことは期待できない。

 その後,私は,8M(10M)→12Mサービスに乗り換え,問題なく通信できるようになった。その過程で,いったんつながらなくなった1.5Mのモデムをつないだら,今度はリンクが安定してリンクできるようになっていた。ADSLはとてもデリケートである。

 筆者のケースは,ADSLユーザー全体から見たら,ごく一部なのだろう。ISPは「結構あるケース」という程度で,正確には把握していない(というか,できないと思う)。しかし,こういった問題に直面したユーザーにしてみれば一大事である。

 情報通信審議会のDSL作業班などがADSLの干渉問題をうまく調整できたとしても,干渉がなくなるわけではない。ADSLユーザーが増えるほど,不安は大きくなる。問題が生じたら自分自身で問題解決を図るか,あきらめるしかない。ADSLに慣れると,ダイヤルアップはもちろん,フレッツ・ISDNにも戻れない。あとは光ファイバを引くか・・・。

 最近,ADSLのリンクが切れることが多くなってきた。先日,発表されたパーソナル・サーバーに食指が動くが,どうしたものだろうか。

(小松原 健=日経インターネットソリューション編集長)

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