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記者の眼

「ブランド構築」は究極の情報戦略だ!

川又英紀 2002/11/05 ITpro

 ここ1年,ブランド構築の大切さを訴える書籍が相次いで発売された。いまさら「ブランドは大切だ」などと言われなくても,よく分かっていると,つっこみを入れたくなる人も多いかもしれない。

 それでもあえて,日経情報ストラテジーでは,本誌なりのブランド特集を組むことにした。理由は,「ブランド構築こそが企業にとって究極の情報戦略である」と,記者は見ているからだ。

ブランドは企業メッセージそのもの

 自分の会社は何をしたいのか。市場に何を提案したいのか。自社の商品にはどんな特徴があるのか。こうした企業からのメッセージを消費者に端的に伝える手段がブランド構築であると,記者は考えている。つまり,ブランドは企業メッセージそのものである。

 IT(情報技術)業界で情報伝達や情報発信と言えば,最近はインターネットや携帯電話を使ったコミュニケーションに話題が集中しがちだ。確かにそれも大切だろう。

 だが,そうした情報伝達の視点で,ブランド構築を見直してみてはどうだろうか。ブランドは消費者に多くのことを伝えてくれる。

 ブランド構築がうまいと言われる企業は,その企業が何をやりたいのかが明快であることが多い。商品開発のコンセプトも分かりやすいし,誰に商品を買ってほしいのかも理解できる。ブランド・イメージが企業イメージと直結している。

 逆にブランド構築がうまくできていない企業は,顧客に対する情報発信がうまく機能していないことが多い。その企業が提供したい価値や商品の特性が消費者に正しく伝わらなければ,売れるモノも売れないだろう。

スターバックスと聞いて思い浮かぶものは何か?

 日経情報ストラテジーでは今回,ブランド特集を企画するに当たり,ブランド構築がうまいと言われる10社以上の企業に取材した。オリエンタルランド(東京ディズニーリゾート)やサントリー,日清食品などがそうだ。

 詳しくは,日経情報ストラテジー2002年12月号(2002年10月24日発売号)の特集を見てほしいが,ここでは代表的な1社を紹介する。スターバックス コーヒー ジャパンである。

 スターバックスのコーヒーを飲んで,おいしいと思うかどうかは人それぞれだろう。全面禁煙の店舗では煙草が吸えないからと,スターバックスには決して行かないという人もいる。逆に煙草臭くないからドトールコーヒーではなくスターバックスに行くという人もいる。

 ともかく,スターバックスはわずか6年で,日本全国に400店を構えるまでに急成長した。それだけ消費者に支持されたということだが,その秘けつの一つはブランド構築のうまさにあったと言える。

 意外に聞こえるかもしれないが,スターバックスのブランド力の根源は「店員」だという。コーヒーでも店舗の内装でも人魚のマークでもない。今回記者が取材したスターバックスの本社スタッフは,「店員がブランドを形作る」と言い切った。

 それは,スターバックスのコーヒーの味や,店の施設,雰囲気については,「まねしようと思えば,他社でもまねできるからだ」という。言われてみて,「なるほど」と記者は思った。

 スターバックスが提供したいもの,ひいてはスターバックスの名を聞いて消費者に連想してもらいたいものは何かと言えば,それは必ずしもコーヒーではないということだ。

 スターバックスがそのブランドに込めたメッセージは,「居心地のいい空間の提供」である。その居心地の良さを演出する最大のポイントが店員であると,スターバックスは考えている。

スターバックスが提供したいものは,コーヒーじゃない!

 「居心地のいい空間の提供」という企業メッセージがはっきりしていたことが,スターバックスが急成長できた大きな要因と言える。コーヒーは,居心地の良さを演出する一つの道具にすぎない。

 居心地の良さを提供しようとしているのは,何もスターバックスだけではない。ほとんどのサービス業がそう考えているだろう。

 スターバックスがうまかったのは,居心地のいい空間の提供が同社の使命であることを繰り返し店員に説明し,そのブランド・イメージを崩さないように,緑色のエプロンをした店員への指導を続けてきたことだ。80時間にも及ぶ店員教育では,そのための講義や実技が続く。

 居心地の良さを最優先するため,ファストフード店にありがちなマニュアル指導はしない。むしろ,あらゆる消費者に臨機応変に対応できることを重んじる。自分で考え,柔軟な接客ができるように教育する。そういう目線でスターバックスに行ってみると,新たな発見があるかもしれない。

 いずれにしろ,スターバックスの店舗にやって来た消費者が「ここは居心地がいいなあ」と思ってくれればしめたもの。「スターバックス=居心地のいい場所」というブランド・イメージができ上がっていく。96年8月に日本に初上陸したときから,ずっとその姿勢を貫いてきたことが肝心だろう。企業メッセージにぶれがない。

 極端なことを言えば,「スターバックス=コーヒーがおいしい店」と思ってもらえなくてもいい。居心地がいいと思ってもらえれば,消費者はまたやって来てくれる。スターバックスはそう考えているようだ。

 居心地がいいこと。それが同社の言う「スターバックス エクスペリエンス」の実体である。エクスペリエンス(体験)という言葉は,米国のエグゼクティブが好んで使う言葉だが,日本では非常に陳腐に聞こえてしまうことも多い。だがスターバックスは有言実行で,そのブランド・イメージを確立してきたと言える。

 経営トップがブランドに込めた企業メッセージが,店員を通じて消費者に伝わっていく。そしていつしか,企業メッセージがブランド・イメージそのものになる。これこそが企業にとって最も重要な情報発信であり,究極の情報戦略と言えるのではないだろうか。

(川又 英紀=日経情報ストラテジー)

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