マイクロソフトは6月15日,ウイルス(ワーム)などを駆除する「悪意のあるソフトウェアの削除ツール」の新版バージョン1.5を公開した。新版では「Mytob」「Spybot」「Ispro」にも対応した。対象OSはWindows 2000/XP/Server 2003。「ダウンロードセンター」から入手可能。Windows XP環境では「Windows Update」からも利用できる。

 「悪意のあるソフトウェアの削除ツール」は,マイクロソフトが提供する無償のウイルス駆除ツール。パソコン上で特定のウイルスが動作していないかどうかを調べ,動作している場合にはメモリーおよびハードディスクからウイルス・プログラムを取り除く。

 同ツールは,同社が月例セキュリティ情報(米国時間の毎月第2火曜日)を公開するタイミングで更新され,検出対象のウイルスが追加される。5月時点では21種類のウイルスおよびその変種(亜種)を検出できた。今回は「Mytob」「Spybot」「Ispro」が新たに追加され,計24種類のウイルスおよびその変種を検出できるようになった。Mytobは最近報告件数が増えているウイルスで,次々と変種が出現している(関連記事)。Spybotは,代表的なボットの一つ(関連記事)。こちらについても,変種が多数出現している。

 なお,「悪意のあるソフトウェアの削除ツール」はウイルス対策としては不十分であるということに注意したい(関連記事)。同ツールは,パソコン上で検出/削除対象ウイルスが実行されている場合のみ有効。一般的なウイルス対策ソフトとは異なり,ハードディスクに保存されているウイルス・ファイル(動作していないウイルスのファイル)は検出できない。ウイルスが実行されるのを食い止める「リアルタイム検出」機能も持たない。検出/削除できるウイルスの種類も限定されている。

 マイクロソフトでも「このツールはウイルス対策製品に代わるものではありません。お使いのコンピュータを保護するためには,ウイルス対策製品をお使いください」としている。過信は禁物である。

 ツールは「ダウンロードセンター」から入手できる。ダウンロードして実行すれば,ウイルスが動作していないかどうかをチェックできる。

 Windows XPでは「Windows Update」からも利用できる。Windows Updateのメニューには「Windows 悪意のあるソフトウェアの削除ツール - 2005年6月 (KB890830)」と表示される。

 「悪意のあるソフトウェアの削除ツール」のWebページからは,同ツールのActiveXコントロールを利用できる。ただし,現時点(6月15日)では新版にアップデートされていない模様。同ページの更新日付は「2005年5月11日」。同ページには「Webページでの提供には多少時間がかかります」と記述されている。

◎参考資料
Microsoft Windows悪意のあるソフトウェアの削除ツール (KB890830)(公開日付:2005年6月14日
悪意のあるソフトウェアの削除ツール(更新日 : 2005年5月11日)
悪意のあるソフトウェアの削除ツールにより駆除されるファミリー(公開日: 2005年5月11日)
Windows Server 2003,Windows XP,または Windows 2000 を実行するコンピュータから,流行している特定の悪質なソフトウェアを削除する Microsoft Windows 悪意のあるソフトウェアの削除ツール(最終更新日 : 2005年5月16日)

(勝村 幸博=IT Pro)