早稲田大学は4月12日,同大学などが開発した受講科目登録システムで,全11学部約2万人からの履修申請登録に成功したと発表した。同システムはPostgreSQL,PHPなどのオープンソース・ソフトウエアを採用,同種のシステムとしては日本最大規模となる。2003年には障害により利用を中止する,といったトラブルもあったが,問題を克服して全学での利用を実現した。

 受講科目登録システムは,早稲田大学がNECと共同開発したシステム。早大の新入生を除く学部学生約3万5000人を対象としている。科目数は約1万2000クラスが登録されており,所属する学部や学科,専修,入学年度,選択外国語などにより選択可能な科目だけを申請できるようになっている。

 OSにはMIRACLE LINUX,データベースにはPostgreSQL,Webアプリケーション開発言語にはPHPと,いずれもオープンソース・ソフトウエアを採用している。

 受講科目登録というシステムの性格上,利用は登録の一時期に集中する。2003年3月の稼動時には,アクセスの集中にともないシステムが応答しなくなり,利用を中止するというトラブルが発生した(関連記事)。

 早稲田大学とNECでは,トラブルの原因を調査し,SQL文を最適化し,Webサーバーを増設,DBサーバーは参照系,更新系を別サーバーに分け多重化するなどの対策を講じた。

 2004年春は第二文学部と理工学部を中心に約5000名が利用し,科目登録を処理。2004年秋には理工学部,国際教養学部など6つの学部と大学院が科目登録システムを利用した。

 今年2005年は,いよいよ全学での利用に踏み切った。3月18日から約2週間で2万353人から25万2212科目の申請を無事受け付け,障害を完全に克服した。

 早稲田大学では,学生や教職員向けのポータル・システム「Waseda-netポータル」など,受講科目登録システム以外のシステムも,LinuxやPostgreSQL,PHPを標準として採用,ファイル・サーバーSambaや認証サーバーOpenLDAP,検索エンジンNamazuなども広範に利用している。プロジェクト研究所として,理工学部教授 深澤良彰氏を所長とする「OSS研究所」も発足させており(関連記事),「受講科目登録システムの開発で培ったノウハウに基づき,今後もさらに積極的にオープンソース・ソフトウエアに取り組んでいく」(早稲田大学)としている。

(高橋 信頼=IT Pro)