フリービットは,同社が提供するIPv6実証実験環境「Feel6Farm」にリモート・アクセスなどの新機能を4月25日に追加した。自宅などに設けたサーバー上のファイルや電子メールを外部から利用できる。

 Feel6FarmはIPv4の接続環境のもとで,IPv6接続を実現するもの。グローバルIPアドレスを利用できれば,無料でFeel6Farmを利用できる(関連記事)。パソコンに「BitBasket6」と呼ぶクライアント・ソフトを組み込む必要がある。

 これまでのFeel6Farmでは,Webブラウジングと電子メール機能が提供されていた。しかし,これではIPv4で利用しているのと大差がない。IPv6環境でも同じことができるということを確認するレベルだったと言える。しかし,今回の機能強化によってIPv4では手軽には実現できなかったことが,Feel6Farmで実現できるようになる。

 新機能は3つある。1つは,自宅などのパソコンに対して別のパソコンから接続し,ファイルを読み込む「リモート・ディスク機能」である。双方のパソコンで同じアカウントを用いてFeel6Farmに接続しておく必要がある。ただし,リモートのパソコンに対してファイルを書き込むことはできない。

 もう1つのリモート・アクセスは「リモート・メール機能」。BitBasket6には電子メールのクライアント・ソフトがついている。BitBasket6を用いて,自宅などのパソコンで読み込んだメールを,他のパソコンで読めるというのが,このリモート・メール機能である。この機能を利用する際もねリモート・ディスク機能と同様に,双方のパソコンで同じアカウントでFeel6Farmに接続しておく。

 最後の機能が「メールのプッシュ配信機能」である。メール・サーバーにメールが着信したら,サーバー側からメールをクライアントに対して送り込んでくる。通常だと,ユーザーがメール・サーバーに随時アクセスして着信を確認するか,メール・ソフトでの設定によって一定時間ごとにメール・サーバーを確認する必要があった。この機能を用いることによって,サーバー側ではクライアント側からのアクセスを減らすことができる。

 これらの機能は,Feel6Farm対応のルーター(現在はヤマハのRTA55iのみ)を用いて接続している場合でも利用できる。ルーター経由の接続の場合でも,パソコンにBitBasket6が必要となる。

 なお,これらの機能で転送されるデータは現在,暗号化されていない。フリービットでは,今後,データを暗号化して転送する機能を付け加えるとしている。さらにリモート・ディスク機能では,ファイルを読み込むだけでなく,ファイルを書き込む機能も追加する予定である。

(和田 英一=IT Pro)