チャット形式で気軽にコミュニケーションができるソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)。その良さを日常業務のコミュニケーションに生かす動きがここ数年、企業のなかで加速している。

 人材サービスを中心とした事業を展開するウィルグループ。その新規事業の立ち上げやベンチャー企業の支援を担う部門では、2015年始めから、メンバー同士のコミュニケーションツールとしてとして、企業向けSNS、米Slack TechnologiesのSlackを、社内で使っている(写真1)。

写真1●Slackを社内SNSとして利用しているウィルグループの若泉大輔シェアハウス部部長(左)と、金谷建史インキュベーション本部マネージャ
写真1●Slackを社内SNSとして利用しているウィルグループの若泉大輔シェアハウス部部長(左)と、金谷建史インキュベーション本部マネージャ
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 ウィルグループではSlack上に、「ベンチャー企業への投資判断」「投資したベンチャー企業の育成」「新規ビジネスコンテスト」といった、部門で進めているプロジェクトごとにグループを作成。部門の社員8人は、仕事に関係するグループに事前登録して、アクセス。情報を共有している。

 ウィルグループの新規事業・ベンチャー企業支援部門にいる社員は、このSlackを、外出時にはスマートフォン、社内ではパソコンを使って閲覧や入力をしている。それぞれのグループの画面を開くと、報告や指示など社員が書き込んだコメントがタイムライン形式で表示されている。

 書き込み内容は、画面上で時系列に表示される。過去の書き込みは、画面をスクロールさせるとさかのぼれる。書き込みの量が増えても、Slackにある検索機能を使えば、必要な書き込みをすぐ確認できる。

受信トレイ1つのメールに比べて情報を楽々整理

 Slackのような社内SNSは、仕事に関する情報をチャット形式で共有できることからビジネスチャットとも呼ばれる。Slackを日々の業務のコミュニケーションで使うウィルグループの若泉大輔シェアハウス部部長は「メールソフトの場合、様々な内容のメールが、1つの受信トレイに集約されるので、情報の整理に手間がかかる。Slackであれば、メンバーがグループに分けて書き込んでいくので、整理がついて分かりやすい」と、話す。

 社内メールに比べて、発信の手間もかからないのも魅力だ。インキュベーション本部の金谷建史マネージャは、「前置きなどを書く必要があるメールと違って、用件や伝えたいことだけを書き込めば済む。やり取りに無駄がなくなった」と明かす(写真2)。

写真2●ウィルグループの新規事業部門におけるSlackでのやり取り。タイムライン上でメンバー担当の仕事の方針が決まっていく
写真2●ウィルグループの新規事業部門におけるSlackでのやり取り。タイムライン上でメンバー担当の仕事の方針が決まっていく
(出所:ウィルグループ)
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 金谷マネージャは、ほかのメンバーと分担して、ベンチャー企業の投資支援の見極めと、支援を決めたベンチャー企業の育成に当たっている。投資支援の見極めでは、毎月100社近いベンチャー企業の担当者と、手分けして会う必要があるため、メンバーがオフィスに集まることが難しい。

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