日本では1990年代後半からERP(統合基幹業務)に代表されるパッケージを用いた基幹システムの構築が始まった。当時、日本国内ではごく少数の外資系製品しか選択肢はなかったが、近年では日本で販売されている外資系製品の数も増えており、国産製品のラインナップもそろってきている。

 当時は年間売上高が数千億円規模の大企業向けの製品が主流であり、パッケージ導入は高額な投資を要するものであった。最近では、構造がシンプルで比較的安価に導入できる製品も充実してきており、年商数十億~数百億円規模の中堅企業でもパッケージを選択するケースが増えている。

 事例が増えたことでITベンダーには導入ノウハウが蓄積されてきた。以前はスクラッチ開発と同様のウォーターフォール型のアプローチを採用するプロジェクトが多かったが、最近ではプロトタイプ型のアプローチが主流になっているなど、パッケージ導入の手法も変化している。

 15年以上にわたり数多くのパッケージ導入プロジェクトにかかわってきた筆者の経験を基に、パッケージ導入における新しい七つの潮流を説明していこう。

新潮流1 「標準機能を最大限に利用」が前提

 「プロジェクト期間はパッケージを選定してから平均で1年弱、長くても1 年半以内」。パッケージを使ったシステム開発の現場では今、短期間での導入が当たり前になっている。

 経営環境の変化が激しい今、1年先ですら見通しを立てにくい。数年前であれば「基幹系システムの開発に3年以上」というプロジェクトも一般的だったが、もはやそのようなスピード感をユーザー企業の経営層が認めなくなっている。

 システム構築にパッケージを利用する目的の一つは、開発期間の短縮にある。パッケージを利用する以上は、スピード感のあるプロジェクトをユーザー企業が要求するのは当たり前だ。

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