ITproマーケティングが開催した「BtoBセールス&マーケティングSummit 2016 Autumn」で、マルケト 代表取締役社長 福田 康隆氏は、BtoBマーケティングのフレームワークとして注目の「ABM(アカウントベースドマーケティング」について解説した。「今、BtoB企業が取り組むべき、戦略的な顧客アプローチを実現するABM」と題した講演で、ABMの実践に当たってターゲットとなる企業の特定と戦略的なアプローチについて説明した。
ABMとMAは「似て非なるもの」
「ABM(アカウントベースドマーケティング)」とは、企業がマーケティングの方向性を定める際に、ターゲットとなる顧客を定義して戦略的なアプローチを仕掛けるためのフレームワーク。米マルケトはABMに対応したソリューションを同社のマーケティングオートメーション(MA)に標準搭載している。マルケトの福田氏は講演の冒頭、ABMについて「全ての企業が取り組むべきとは思っていない。取り組むべき企業とそうでない企業がある」と切り出した。
それでは、どのような企業が取り組むべきなのか。福田氏は、その条件を三つあげた。まずは重要顧客が明確である企業だ。「二八の法則ともいわれるが、『2割の重要顧客が売り上げの8割を占める』企業では、2割をターゲットにABMを実践するという選択肢がある」(福田氏)。
次に「特定の属性を持った、似たグループ企業がターゲットになっているケース」(福田氏)だ。その場合には、ターゲットとなる企業の担当者個人ではなく、アカウントベースでのマーケティングが有効になる。
同様に、中堅・中小規模の企業をターゲットとしたマーケティングでは、その顧客企業の社長や営業責任者といった特定の個人ではなく、ステークホルダーを含めて幅広くコンタクトしていかなくてはならないことが多い。福田氏は三つめの条件として、「役職・部署が複数にまたがり、多数のコンタクト先にアプローチしなければならないケース」を挙げた。
福田氏は続けて、企業が実際に顧客を獲得する方法とマーケティング手法との関係について述べた。企業が顧客を獲得する方法は、大きく2種類のアプローチがある。広い市場に対して網を張ってそこから獲得する方法と、ターゲット企業に的を絞る方法だ。
広く網を張るパターンでは、購買確度が高いリードをどうやって抽出するかがポイントになるため、MAが重要になる。一方で「ABMはここだというターゲットを絞り込み、そこでの購買確度をどう高めていくかというアプローチとなる。MAとは『似て非なるもの』といえる」(福田氏)。