IoTシステムの構築に欠かせないクラウドサービスが相次いで登場している。主要機能は「デバイス制御」「データ管理」「データ分析」の三つ。ただし、各サービスでそれぞれ強弱があり、利用時には注意が必要だ。

 IoTの普及とともに、続々と登場しているのが、IoTシステムの構築に必要な機能を備えたクラウドサービス(IoTクラウド)だ。「クラウドを利用すれば、デバイスからデータを取得して可視化するような簡単なシステムであれば、数時間でプロトタイプを作れる」とアクセンチュアの丹羽雅彦氏(デジタルコンサルティング本部 モビリティ サービス グループ統括 マネジング・ディレクター)は話す。

 IoTシステムの構築にIoTクラウドの利用は大前提だ。「IoTシステムの構築は週単位でプロトタイプを開発するケースもあり、スピード感が最も重要。既存のサービスを組み合わせて開発しないと、顧客のスピード感に追いつかない」と、IoTシステムの構築を得意とするウフルの八子知礼氏(上級執行役員 IoTイノベーションセンター所長兼エグゼクティブコンサルタント)は指摘する。

 実際、IoTシステムの開発では導入企業自身も手探りで、何度もプロトタイプ開発を繰り返すケースが多い。うまくいかない場合は、システムを破棄して撤退する可能性もある。うまくいった場合でも、接続するIoT機器が増えるにしたがってスケーラビリティーが必要になるなど、導入企業側の要望に柔軟に対応できるクラウドが向く。

 さらにIoTの関連分野は日々技術が進化している。「IoTクラウドを開発している感覚では、IoT分野のシステムは毎年、利用する技術を見直す必要がある」と、IoTクラウド「Watson IoT Platform」を提供する日本IBMの鈴木徹氏(IBM Internet of Things Watson IoT TS&S IoT Technical Lead)は話す。特にIoTで利用する通信規格やセキュリティ対策は次々と新しいものが登場している。

国内企業もIoTクラウドを提供

 これまでIoTクラウドといえば、日本IBMのWatson IoT Platformや、日本マイクロソフトの「Azure IoT」、アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWS)の「AWS IoT」など、外資系ITベンダーが提供するサービスが主流だった。

 しかし2015年から富士通や東芝といった日本企業も、自社工場などで培ったIoT活用の経験を生かして、IoTクラウドの提供を始めている。2016年中には、ニフティや日本ユニシスなどもIoTクラウドを始めると発表済みで、今後ますますIoTクラウドが増えるのは確実だ。

 ITエンジニアは各社のIoTクラウドの特徴を把握して、それぞれのプロジェクトに合ったサービスを使うことが求められている(表1)。

表1●IoT機能を提供する主なクラウドサービス
表1●IoT機能を提供する主なクラウドサービス
[画像のクリックで拡大表示]

この先は日経クロステック Active会員の登録が必要です

日経クロステック Activeは、IT/製造/建設各分野にかかわる企業向け製品・サービスについて、選択や導入を支援する情報サイトです。製品・サービス情報、導入事例などのコンテンツを多数掲載しています。初めてご覧になる際には、会員登録(無料)をお願いいたします。