AIブームのけん引役となった深層学習(ディープラーニング)。国内でも、業務に応用した事例が相次ぎ登場している。深層学習には、AIの学習に大量の教師データが必要になるといった課題がある。先進ユーザーはIT企業とのコラボレーションで実用化に挑む。
[ガリバー×ABEJA]動線分析で「売れる店舗」を実現
中古車販売のガリバーインターナショナルが2015年12月、愛知県常滑市で開業した「HUNT」。同社として7件目となる商業施設内の店舗である。ガリバーは画像認識AIを開発するABEJAと手を組み、深層学習を利用した顧客動線分析を開始した(図5)。
データとして使うのは、天井に設置したカメラでとらえた店舗内の映像だ。17台で店舗の大部分をカバーする。
映像データはいったんABEJAのサーバーに送信される。このサーバーで深層学習を使って映像を分析し、店舗の顧客数を算出するほか、顧客が滞在している場所や動線をヒートマップの形で出力する。「この展示車は人を集める」「この通路は人の通りが少ない」といった売り場の分析を、現場の営業員に代わって17台のカメラと画像認識AIが担う。
ガリバーインターナショナル SC事業推進チーム チームリーダーの勝田将哉氏は「ヒートマップを分析すると、これまでの常識や肌感覚を裏切る結果が得られる」と語る。