国産のMA(Marketing Automation)サービスを提供するシャノンは2016年12月21日、東京証券取引所からマザーズ市場への上場を承認された。2017年1月27日に予定している上場を前に、同社代表取締役の中村健一郎氏に、国内BtoBマーケティングの現状と課題、そして2017年に向けてのシャノンのビジネス戦略について聞いた。
記事構成は冨永 裕子=ITアナリスト)
“MA元年”から3年目、ユーザー企業に見える変化とは
まず国産MAサービス市場を長年にわたりリードしてきたシャノンの中村氏に、2016年の国内企業のMA導入の動向について聞いた。「2014年を“MA元年”とすると、3年目に当たる2016年は順調に市場が拡大した年と感じている。我々への資料請求や引き合い、商談が前年比でもかなり増えている。月によっては2倍ぐらいあって、力強いマーケットニーズを感じている」と中村氏は話す。
MAサービスが広がり始めた当初は、独自に様々なマーケティング手法を工夫して試していた企業がその導入をリードしていたが、2016年後半ころからマーケティング活動にあまり積極的でなかった企業からの相談依頼も増えてきたという。業種では、以前から積極的だったIT系や通信系の企業に加え、機器メーカーなどの製造業の動きが目に付くという。従業員数50人程度の比較的規模の小さい企業でも、「SFA(営業支援システム)よりも先にMAを検討する例が増えている」(中村氏)。
さらに、最近では基本的な情報を理解した上で問い合わせてくるユーザー企業が増えており、スムーズに商談を進められるようになったと実感しているという。「“(MAでは)こういうことができると聞いているので、こういうことをやりたい”というイメージを既に持っているようだ」と中村氏は話す。
差異化のポイントを「ワンストップでユーザーを支援」に置く
では、2016年にシャノンはMAベンダーとしてどのような取り組みを強化したのだろう。中村氏は、「MAツールとしての必要機能は既にそろっており、積極的に新しい機能を追加してはいない」と説明する。ただ外資系ベンダーなどが提供するMAとの差異化をするため、以前から提供している「イベント管理」や「セミナー管理」機能によって「オフライン系が強いMA」というメッセージを打ち出し、認知を図ってきた。