本連載では、全国の中小企業のみなさんがITを有効活用して、業務課題の解決や生産性向上を図れるようにするためのヒントをお話ししていきます。日ごろ「我が社はITを使いこなせていないが、なぜだろう」「どうして我が社はITに投資しないのだろう」といった疑問を感じている方の参考となり、それがITを活用した生産性向上や収益拡大の一助につながれば幸いです。

 5回にわたり、中小企業のIT化が進まない理由を深掘りし、その対策を考えてきました。最終回は、最新のIT技術を使って、安定した事業継続や、事業変革、新事業開発に進んでいく術を見ていきたいと思います。

IT投資は、新しい買い物と同じ

 私たちは、買い物をするときの「買う」判断をする時は、友人から良いものと聞いたから、周りの人も買ったから、など「口コミ」伝播による影響が大きいと言われています。「信頼できる友人が良いといっていたのだから信用できる」と思うのも当然です。

 問題は、その伝播に時間が掛かってしまうこと。IT業界では、地方企業が使っているITシステムは首都圏から5年~10年遅れていると、まるで都市伝説のように言われています。ですが私自身の肌感覚でも、比較的正確です。5年くらい前に首都圏でブームになった技術を地方でそろそろ導入しようか、という例が多いのも事実です。

 ITは、企業の内部情報でもあるので、本当に聞きたいことは外部に出ていないことが多いため真実が分からず、その結果業界団体の情報交換会で共有されて、その業界にのみメーカー指定があったりするのも、この口コミマーケティングの特徴だと思います。

 5年経過した技術をこれから5~8年使う場合、サポート面などで課題が出てきそうですし、既に首都圏の企業は5年進んだもっと安くて便利なツールを使い始めているわけです。このインターネットの時代に、そこまで情報格差があるとは思えません。考えられるのは、「いきなり最新技術を採用する」ということに壁がありそうだということです。

 つまり、使い勝手や社員に受け入れてもらうための導入ステップを考えると、少しずつレベルアップしなくてはならないのでということなのでしょう。アパレル系ネットショップの躍進で、地方のファッションも首都圏と全く変わらなくなっている時代からすると、やはり腑に落ちません。

. 今の時代は、地方企業だから最新技術を使いこなせない、というようなことはないわけで、5年という時差を一気に埋めて、大企業やグローバル企業に簡単に肩を並べる事が可能になっているのです。

 最新のクラウドサービスを積極的に活用してIT武装していけば、大企業と同等のITが利用可能となります。中小企業ならではの俊敏性や機動力を生かしながら、事業改革を推進できる時代になりました。

 今回は、そうした新たなITの潮流と、そしてその潮流にうまく乗り、安定した事業継続や事業改革を進めていくにはどうしたら良いかを見ていきましょう。

この先は日経クロステック Active会員の登録が必要です

日経クロステック Activeは、IT/製造/建設各分野にかかわる企業向け製品・サービスについて、選択や導入を支援する情報サイトです。製品・サービス情報、導入事例などのコンテンツを多数掲載しています。初めてご覧になる際には、会員登録(無料)をお願いいたします。