IoT Asia 2016からのレポート、2回目は「データ解析」と「工業」のセッションを紹介します。データ解析はビッグデータ、機械学習と相まって注目されているカテゴリーです。工業系IoTは世界中の企業の工場が集まるAPACならではのカテゴリーと言えるでしょう。

街灯メンテナンスを解析・可視化する

写真1●Koh Niak Wu氏
写真1●Koh Niak Wu氏
[画像のクリックで拡大表示]

 日本であれば街灯をメンテナンスするのはごく当たり前なことで、夜間の街灯は常に点灯しているのが日常として受け入れられているでしょう。そのため、この辺りの事情はアジア地域のならではかも知れません。講演では街灯がついていない、きちんとメンテナンスされていない地域は犯罪率が高くなったり、ゴミや道路整備などの問題も抱えやすかったり、という点が強調されていました。街頭で明るくなると夜間における商業の活性化や夜間歩行の安全化などメリットが大きいとのことです。この街灯というキーワードは他のセッションにおいてもスマートシティの筆頭として挙げられており、日本とは異なる事情が見えてきます。

 登壇者であるCosmiqo社のDr. Koh Niak Wu氏(写真1)は、街灯のメンテナンスをいかに効率的に行うかをIoTを通じて実践しています。同社はマレーシア、シンガポールを中心に、サプライチェーンやオペレーション管理を提供している企業です。保守状況をチェックする車に3つの光センサーを搭載し、車載した解析システムとGPSを組み合わせて、走りながら輝度を記録します(写真2)。それをクラウドにアップロードし、Googleマップ上にマッピングしてデータを可視化しています(写真3)。個々の街灯がデータを送信するような複雑な仕組みではないため、開発コストも安く済んでいます。低コスト化はIoTやスマートシティを考えるうえで大事なキーワードです。

写真2●IoTによる街灯メンテナンスの仕組み
写真2●IoTによる街灯メンテナンスの仕組み
[画像のクリックで拡大表示]
写真3●ビジュアル化された街灯
写真3●ビジュアル化された街灯
[画像のクリックで拡大表示]

 興味深いのは、各測定ポイントの輝度だけではなく、Googleマップ上で指定した四方の範囲の平均輝度が表示できる点です。これにより、衛生や治安の悪い地域の輝度の可視化もできます。IoTによる街灯の保守コスト低減はもちろん、治安や市民生活の改善につなげられる興味深い事例でした。

この先は日経クロステック Active会員の登録が必要です

日経クロステック Activeは、IT/製造/建設各分野にかかわる企業向け製品・サービスについて、選択や導入を支援する情報サイトです。製品・サービス情報、導入事例などのコンテンツを多数掲載しています。初めてご覧になる際には、会員登録(無料)をお願いいたします。