エムエム総研 代表取締役CEO 萩原 張広氏
エムエム総研 代表取締役CEO 萩原 張広氏
(撮影:都築雅人)
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 2016年4月14日にITproマーケティングが開催した「BtoBセールス&マーケティング Summit SPRING 2016」で、エムエム総研 代表取締役CEOの萩原 張広氏は、企業でマーケティング組織を構築する重要性について示した。「マーケティング組織構築にあたってのポイント」と題した講演で、マーケティングを支援する仕組みやツールなどを導入する際の営業部門との円滑な連携手法を解説した。

「トップ営業社員は、なぜトップになれるのか」を考える

 萩原氏が「営業」や「マーケティング」の仕事に関わり始めたのは、19歳の頃だったという。「英会話の教材を個人に売る仕事を始めたのがスタートで、以来、35年ほどこの世界で仕事をしている」(萩原氏)。

 そんな萩原氏だが、当時からずっと営業に関する素朴な疑問を持っていた。いわゆる「飛び込み」や「アポ取り」をして量的拡大を図らないとならないこと、そして、その非効率さだ。

 営業のスタイルを変えるにはどうすべきか。その悩みは、「トップ営業社員は、なぜトップになれるのか」(萩原氏)という疑問となった。萩原氏は、リクルートでの営業責任者時代を振り返りながら、その解答についてのキーワードを「顧客資産の創造とブランディング」(萩原氏)と示した。

 顧客資産の創造とブランディングとは、具体的には「ターゲティング」、「Win-Winの構築」、「自分ブランディングによる紹介案件の増加」、「顧客情報資産の構築」の四つの取り組みに分けられるという。ターゲティングとは単純に見込みのありそうな顧客とそうでない顧客を分類することではない。「顧客生涯価値を見極めること」(萩原氏)だ。

 営業社員が一つの案件を受注するには時間もパワーもコストもかかる。だからこそ「どういう会社から受注するか」が重要になる。その会社が将来的にどのように発展していくのか、2年後や3年後を視野に「顧客生涯価値を見極め」、ターゲティングすることが、トップになれる理由の一つめだ。

 萩原氏は、自身が「顧客創造価値を見極めた」エピソードとして、リクルートの横浜の営業所時代を取り上げた。「日々、『これから育っていきそうな会社』を自分で探していた。まだプレハブの工場しかなかったファンケル化粧品との出会いもそのころだった」と振り返った。

 「Win‐Winの構築」について萩原氏は、「BtoBマーケティングでは、お客様となる企業に自社の商品やサービスを購入してもらうのがゴールではない。新しいお客様との関係が、買っていただいた瞬間からスタートする。そこまで考えて営業に来ているかどうかはお客様側から見えてしまう」と指摘する。中長期的な視野に立った「Win-Winの構築」を考えた営業を展開しているかどうかが重要となることを示した。

 萩原氏は、「顧客生涯価値」や「Win-Winの構築」を念頭に置いて活動を続けていくことで、「自分自身を『ブランディング』できるようになる」という。「お客様から評価をいただき、そえがさらに他のお客様に広がることで営業成績が上がっていく仕組みが出来上がる。これこそが、マーケティングにつながる考え方である」と語った。

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