お客様の“偽りの笑み”の正体
「なんでこんなヤツの話を、忙しいオレが聞かないといけないんだ…」
商談ルームでコーヒーを飲みながら、お客様が“偽りの笑み”を浮かべて秘かに心の中で思っている(かも知れない)ことです。
あなたは、どれだけ商談の入り方に気を配っているでしょうか?例えば、あなたが手がけたこれまでの案件で、うまくいかなかったときのことを思い返してみてください。
「今日はお時間いただき、ありがとうございます」
「はい」
「当社は●●システムを開発している会社でして、主な取扱商品は…」
「はい」
「今、当社で一押しの●●システムをご紹介したいと思いまして」
「そうですか」
あなた (あれ、この人あんまり反応が良くないな…)
お客様 (なんでいきなり、さして興味も湧かない話を聞かないといけないんだ…)
あなた 「ちなみに、今、●●の業務を行っている社員の方は何人いらっしゃるのでしょうか?」
お客様 (なんで、どこの馬の骨とも分からないヤツにそんなこと教えないといけないんだ)
このように、お客様との関係性がうまくできていない段階で、具体的な商品の話に入ってはいなかったでしょうか?
逆に、あなたが成約に至った案件を、初めから思い返してみてください。きっと、商品の話に入る前に、雑談で盛り上がって親近感が持てたり、相手の経営者の考え方に触れて共感したりしていたのではないでしょうか?
お客様も“人”である以上、あなたが提案する商品を購入するかどうか、あるいはそれ以前の、あなたの話を聞いてくれるかどうか、を“感情”が決めている部分も多分にあるのです。
大きな成果を出す営業担当者で、お客様の感情や、お客様との関係性を重視しない人はまずいません。自分たちの商品の話に入る前に必ず、お客様との「人間関係構築」を行っています。これをしないと、次の商談ステップに進めないことを知っているからです。商品の話に入る前から、あなたの商談はスタートしているのです。
ところが、マーケティングや商談プロセスを考えるときに、「人間関係構築」という部分にフォーカスを当てているケースはほとんどありません。その理由は、非常に曖昧で、属人的な要素が強いからです。
それでも、大きな成果を出す営業担当者がどのように人間関係を構築しているかを観察していると、いくつかのパターンとルールが見えてきます。
お客様と接点を持ち始めた初期段階から「人間関係構築」が深く影響している以上、次の商談ステップに進めず停滞する案件を発生させないためにも、パターンとルールを学び、なるべく高い再現性を出せるようにしていきましょう。