製品を企画できる?それとも?

 ひとことで新製品と言っても、その製品の企画段階から関わって市場の特定のニーズを満たす製品を開発して販売する場合と、既に出来上がった製品を市場に投入することが決まりマーケティングで何とかして売ってくれ(≒リードを作って)と渡される場合とでは、根本的にやることが違ってきます。

 私が勤務する外資系メーカーの場合は、後者のケースがほとんどで、製品の値段や名称・パッケージなどにはまったく手を付けられません。マーケティングミックスでコントロールできる主な要素「4P」すなわち製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、コミュニケーション(Promotion)のうち、コントロールできるところは限定されており、「売るべきモノはすでに決まっている」状態といえます。

 B2Bに限定しないと、新製品の90~95%は失敗するといった調査結果もあるようです。それでも与えられた条件の下で「自分が売る新製品の使い道」を明らかにし、その新製品が売れるようにするのがマーケターとしての腕の見せ所であり、多くの企業でB2Bマーケティングに求められている役割だと思います。

 実際には「既に出来上がった製品」といっても、自社のR&Dが開発したものと、M&Aなどによって自社の製品ラインアップに新たに加わったものでは、少しばかり状況は異なります。自社のR&Dが開発したものは、市場から見たときに「完全な新製品」です。

 それが買収製品の場合には、買収前に既に市場で認知されていたり、市場では一定の地位を確立していたりと、全くの新製品とは言い切れない場合があります。過去の市場での資産を活かしてさらに成長させられるか、それとも過去の資産を食いつぶしてしまうのか、マーケティングだけの責任ではありませんが、M&Aによって加わった買収製品は、単なる新製品を売り出すのとは異なった難しさがあります。

想定される販売ターゲットは正しいか?

 では、ある製品をどこに向けて販売するかは製品を開発する際に当然検討されていて、それに従って販促の手段を考えればよいというものでしょうか?残念ながら、製品を開発する際に検討した市場のニーズはあくまで提供する側が考えた「お客様のニーズ」を満たすものでしかありません。それが本当にお客様が困っていることを解決できるかどうかまでは分かりません。

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