前回は、オウンドメディアの活用について書きました。
ダッソー・システムズのオウンドメディアの取り組みはようやく軌道に乗ったところです。トリプルメディア(編集部注:オウンドメディア、ペイドメディア、アーンドメディアのこと。詳細は前回記事を参照)は今までバラバラに運用・評価されることが多くありました。しかしオウンドメディアだけでなく、それぞれのメディアの特徴を踏まえ、どのように使っていけばよいのか考えなくてはなりません。
ここで大事になるのは「マーケティングゴールを達成すること」です。当社はオウンドメディアのKPI(重要業績評価指標)として、これまでの「認知の獲得」に加え「ビジネスへの貢献」を設定しました。さらなる活用を目指して次年度へ向けたマーケティングプランの見直しを進めているところです。
ここに至るまでに多くの失敗を経験してきました。ここへきて改めて感じるのは、成功からは何も学べないが失敗からは多くを学べるということです。そこで今回は、実際に経験してきた失敗を紹介して、そこから学んだ教訓を話したいと思います。
仕組みや企画など横展開可能な観点でまとめてみると、大きく三つの分野での失敗に分類できました。まずオンライン・オフラインにかかわらずイベント・セミナーなどの企画段階における失敗、次に実際のイベント運営段階での失敗、最後にデジタルマーケティングの基盤部分であるツールのトラブルです。順番に説明しましょう。
「有名人」頼みの落とし穴
デジタルマーケティングに力を入れている昨今ですが、コミュニティの集まりなどのイベントやセミナーの重要性も高まっています。マーケティング部門としては、オンライン・オフラインの活動を組み合わせることが必要になります。
ある程度以上の規模になるとオンライン・オフラインいずれの場合でもイベントを企画する際の目玉として、基調講演(特別講演や招待講演などと呼ぶ場合も)が必要になります。多くの人がぜひ話を聞きたいと思う講演者を招いて、来場者を増やし満足度を高めることを目指しています。
しかし知名度の高さや人気が必ずしも満足の行く結果につながるわけではありません。イベントを通じて来場者に伝えたいテーマに対して一貫性があり納得感のある講演でなければ、来場者の期待に応えられません。
以前、ユーザー向けイベントに日本人ノーベル賞受賞者を海外から招聘したことがあります。この方の講演を目当てに、これまで来場したことのない科学者・研究者といったお客様に多数来場していただけました。ところが、基調講演だけ聴講して他のセッションや展示には見向きもせずに帰る割合も少なくありませんでした。