第1回はマーケティング目標の設定についてお話ししました。ただしマーケティング部門はデジタルのマーケティングだけで全目標を達成できるわけではありません。

 単発のアクションを繰り出すのではなく、様々なアクションの組み合わせでお客様の関心を深めていく(いわゆるナーチャリングをする)ためには、そのためのデジタル化したデータベースが必要になります。今回はこの、マーケティングデータベースについて解説します。

マーケティングデータベースは育てるもの

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 最新のマーケティングオートメーション(MA)ツールを使えばオムニチャネルへの対応を含めてさまざまな便利機能を利用できます。システム環境に大きな投資をしなくても、ExcelやAccessを使ったパソコンベースでも十分役立つものができます。

 ここで大切になるのは、どのようシステムを使っているかではなく、そこに保管されているデータがどの程度の品質なのかです。さらに言うと、そのデータを活用できてビジネスにつながる案件を創出し続けられているかで評価されるべきです。

自社リストに物量は不可欠

 マーケティングに携わる皆様には当たり前のことだと思いますが、Eメールをはじめとしたオンラインマーケティングへの反応率は決して高くありません。

 メール配信の場合を考えてみます。よく使われるものとして定期的なメール配信(メルマガ)があります。

 ベンダーの最新トピックや新着のWebコンテンツへのURLリンクを並べ、Webコンテンツへのアクセスやセミナー、イベントへの来場登録に誘導します。仮に開封率とリンクのクリック率をどちらも10%とすると、1万通のメールを送っても、Webコンテンツでは100人の目に触れるだけです。どちらも5%の場合には、わずか25人です。

 そこからさらにコンテンツの内容に反応するコンバージョン比率が4%あったとしても、リードになったのはわずか1人ということになります。メールの開封率・リンクのクリック率を考えると、かなり多くのメールアドレスを保持しないと、有効なマーケティング手段にならないのです。

 つまりコンタクト可能な母数を増やすことは、メールマーケティングの最大のチャレンジだとお分かりいただけるでしょう。

 だからといって、自社の商材がターゲットとしていない市場でリードの件数を増やしても、データベースサイズを水増ししているだけなので、賢明なアクションとはいえないでしょう。ターゲット市場の中にあるデータを充実させることは、マーケティングとして最優先で取り組むべき課題なのです。

データベースを作る

 メールアドレスを自社のデータベースに登録するためには、何らかの方法で個人情報を収集し、メール配信に同意してもらう必要があります。実際の方法としては訪問・郵便・電話・展示会・セミナーなど自らお客様へアプローチする方法、あるいは既にリストを持っている企業と協力して間接的にアプローチする方法があります。

 後者の場合、リストを使ってターゲットメールを配信する業者を利用することで、データベースの基礎となる部分を確保することも一般的でしょう。日本以外の国ではリストレンタル(他社からデータベースを購入する)が新規へのアプローチ手段として一般的ですが、日本では法令(個人情報保護法)や商習慣上、金にあかしてリストを購入してコンタクトデータベースを構築するという方法はとれません。

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