今回から8回にわたって、書籍「コンテンツマーケティングの教科書」第2章「コンテンツマーケティングを始めよう」の内容を抜粋して掲載していきます。この章では、基本となるコンテンツマーケティングの定義をしながら、最終的な目標に向けてどう進めていけばよいか、コンテンツを有効活用する方法を初~中級者向けに解説しています。

買い手に合わせてコンテンツを提供しているか
コンテンツマーケティングは、「買い手の状態に合わせ、有益で価値の高いコンテンツを提供し、ニーズの喚起・熟成、購入意欲を促すこと」です。
企業側が自社の伝えたいことをコンテンツにして、一方的に伝えても意味がありません。コンテンツの価値を判断するのは読者である買い手です。企業側が「買い手が情報を探索している段階で必要なコンテンツはこれだ」と考えてコンテンツを提供しても、必ずしも買い手がそう感じるとは限りません。
コンテンツマーケティングが進まない原因の1つは、「買い手の購買行動プロセスに沿って最適なコンテンツを提供できていない」ことです。
マーケティングの本質は売上への貢献
コンテンツマーケティングが注目される前までは、カタログや広告やWebサイトなどのコンテンツは、売り手のマーケティング予算やスケジュールに応じ、いわば場当たり的に制作・提供されていた部分があります。例えば「新商品が出るから広告とカタログを用意しよう」「セミナーがあるからリーフレットを作ろう」といった具合です。
しかし、マーケティングの本質を見失ってはいけません。マーケティングの目的は本来、事業の売上や受注に貢献することです。
これまではマーケティング施策が売上や受注にどれだけ貢献したか正確に分析することは難しく、マーケティング部門は成果を測れないまま、決まった施策の実行を繰り返してきました。
こうした状況を一変したのが、デジタルマーケティングです。数値で効果が測れるようになって初めて、マーケティング施策単体の成果が問われるようになったのです。コンテンツマーケティングを行う際も、最終的には売上や受注への貢献度が重要になります。
つまりコンテンツマーケティングは購買行動プロセスに沿ってコンテンツを提示することだけではなく、マーケティング成果をあげるためにコンテンツを活用することが最終目標になります。そして、目標を達成するのに最適なターゲットに対し、最適なコンテンツを最適なタイミングで提供することが、コンテンツマーケティングの肝なのです。
買い手の状況によって欲しい情報は異なる
では購買行動プロセスの各段階で、最適なコンテンツとはどういうものなのでしょうか。どの段階でどんなコンテンツを提供するかは、商材やビジネスモデル、ターゲット層の特徴によって変わります。同じ業界で同等の規模の企業でも、一方の企業でうまくいったコンテンツマーケティングが、もう一方で成功するとは限りません。