「周年」は企業にとってブランドメッセージなどを伝えるチャンスです。この効果を狙うためか、近年、実際に企業が周年に際して、記念のサイトやWebコンテンツを発信するケースをよく目にするようになりました。外向けのメッセージ発信はもちろんですが、従業員、OB・OGなど内向けのインナーブランディングにも非常に有効だからです。
前編では、「周年」がなぜ企業にとってブランディングのチャンスなのかを考察してから、ターゲットを取引先やファンに絞り、ロイヤルティを育む周年記念サイトの好例をご紹介しました。
今回は、従業員や、卒業生に向けてなど、インナーブランディングを目的としたと見られる周年記念サイトを分析します。
前編とはまた違った切り口で企業・学校法人の魅力を伝え、閲覧しているうちに興味・関心が生まれてくる個性派のサイトを選びました。
〈サイト例4〉YOKOGAWA 100周年記念サイト Tomorrow’s in sight. 見守る力で未来をつくる。
社内アンケート結果や歴史、取引先の声で、従業員の理解を深めるサイト
http://www.yokogawa.co.jp/100th/
横河電機グループの創立100周年記念サイトは、主に従業員が自社への理解を深めるためと考えられるコンテンツで構成されています。
メニューにある「PEOPLE」は、海外拠点を含む社内アンケート結果に基づいて、従業員のイメージを「協調性が高い12%」、「愛想がいい10%」などバブルチャートで示したり、「お客様のためにいつも心がけていることは?」等の問答をグラフィカルに表現し、自社の個性や社風を認識させています。次に「HISTORY」は100年の沿革を、要点を絞って滑らかなスクロールでまとめており、自社の歴史を視覚面からも理解しやすいように工夫されています。加えて「CUSTOMER VOICES」では取引先からの信頼や期待が語られており、自社の価値を第三者評価を通して知ることができます。
全編を通し、従業員に向けて、同社は高い信頼性や誠実さによって、取引先と長期的なパートナーシップを育んでいることを伝え、社員のロイヤルティを高めていると言えそうです。
〈サイト例5〉PASONA 40th ANNIVERSARY ~感謝を込めて~
働くことが人にもたらす幸せを表現。人材登録者に対してインナーブランディングを行うサイト
https://www.pasona.co.jp/40th/
人材派遣業のパソナグループの創業40周年記念サイトです。周年キャンペーンの「集まれ!パソナ☆キラリビト」は、人材登録者の中から公募を経て選出された、「夢や志をもって情熱的に活動している人」40名を紹介。社会貢献や地方創生、起業・経営、音楽、芸術などで活躍する方々から、働くことを通じて得た生きがいや幸せが語られています。このコンテンツは当事者の声を通して、人材派遣や転職支援の登録者に向けて、パソナは競争の激しい業界にあっても「人を活かすことで人々の心豊かな生活を創造する」という理念を追い求め実行していることを伝えることで、同社へのロイヤルティを高めていると言えるでしょう。