ここからは、PaaSを使ってどうアプリケーション開発を進めていくのかを説明する。ノンプログラミングPaaSとランタイムPaaSでは、開発の進め方が大きく異なる。

 ノンプログラミングPaaSの開発手順について、Force.comを例に説明しよう。セールスフォース・ドットコムの伊藤哲志氏(マーケティング本部 プロダクトマーケティング シニアマネージャー)は「Force.comでは、7~8割のアプリケーションはプログラミングなしで、Webブラウザー上からの操作だけで開発できる」という。

 具体的な手順は(1)テーブル設計、(2)ビジネスロジック設計、(3)画面設計といったもの(図3)。すべてWebブラウザーからForce.comの管理画面で操作して作業する。

図3●ノンプログラミングPaaSのアプリケーション開発の流れ
図3●ノンプログラミングPaaSのアプリケーション開発の流れ
画面写真は米Salesforce.comの「Force.com」の例。7〜8割のアプリケーションはプログラムなしで開発できる
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 テーブル設計ではスキーマビルダーを使って、アプリケーションに必要なテーブルを作成する。ほかのテーブルとの関係は、表示されるER(Entity Relationship)図で定義する。項目ごとにアクセス権限を設定し、部門やユーザー単位で閲覧や編集の可否を設定できる。

 ビジネスロジックはプロセスビルダーを使って設計する。画面上にフローチャートを書いていくと作成できる。アクションとしては、レコード作成や更新、メール、社内SNS(Chatter)への投稿などが用意されている。独自言語「Apex」を使ってプログラミングし、独自アクションを作成することも可能である。

 画面設計にはアプリケーションビルダーを利用する。画面部品として項目の入力や閲覧、集計レポート、グラフなどがある。それら部品をドラッグ&ドロップして画面を作成する。画面はPCのWebブラウザー、スマートフォン、タブレットといった端末ごとに作成できる。独自言語「Visualforce」でプログラミングすれば、独自の画面部品の作成や、画面全体のカスタマイズも可能だ。

ランタイムPaaSは従来の開発に近い

 ランタイムPaaSは従来のアプリケーション開発に近い。開発チームがロジックや画面を設計して、プログラミングしていく。

 Microsoft Azure Web Appsを例に、具体的な手順を説明する(図4)。まずはAzureの管理画面で「Webアプリ」(PaaSのインスタンスに当たる)を作成する。「Webアプリの作成」をクリックし、配置する地域やDBを選択すれば完了だ。RDBMSとして、SQL ServerまたはMySQLを選択する。作成したWebアプリの設定画面から、「.NET」「PHP」「Java」「Python」のランタイムの動作オン、オフとバージョンを選択できる。

図4●ランタイムPaaSのアプリケーション開発の流れ
図4●ランタイムPaaSのアプリケーション開発の流れ
画面写真は米Microsoftの「Microsoft Azure Web Apps」の例。アプリケーションの設計やプログラミングはオンプレミス環境やIaaSを使った開発と同じ
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