アプローチはさまざま
50%OFFも十分可能

 パブリッククラウドのコストはさまざまな方法で削減できる。実際にコスト削減に成功したIT現場は、どのような工夫をしたのか。先行7社のコスト削減事例を紹介する。

事例4
アスクル
ソフトのスリム化でリソースの無駄をなくす

 パブリッククラウドのコストは、サーバーの性能やストレージ容量などのスペックで変化する。そうしたスペックを必要最低限に抑えるために、ソフトウエアを見直すことも重要だ。ソフトウエアをスリム化すれば、当然、サーバースペックも低くて済む。

 アスクルは、大企業向けの間接材購買サービス「SOLOEL」のシステムを、インターネットイニシアティブ(IIJ)のクラウドサービス「IIJ GIO」上に構築している。従来は、他社のホスティングサービスでメインサイトを運用し、IIJ GIO側にDR(Disaster Recovery)サイトを構築していた。そして2014年、メインサイトもIIJ GIOに移行し、DRサイトと共に運用している。

 そんな同社がコスト削減策で取り組んだのが、ソフトウエアのスリム化だ。オンプレミスのまま移行すれば、リソースが膨れ上がる。ホスティングサービスではソフトウエアをスリム化して得られるコスト効果は薄かったが、リソース使用量に応じて課金されるサービスではダイレクトにコスト削減につながる。

 そこで同社は継続的に、自社開発のアプリケーションをチューニングし、スリム化している(図5)。同社の富山友貴氏(SOLOEL事業部 マネージャー)は「ソフトウエアの見直しによって、サーバーなどのリソースは最小限にとどめられた」と話す。

図5●自社開発したソフトウエアを見直す
図5●自社開発したソフトウエアを見直す
アスクルはSaaS型の購買システム「SOLOEL」で、IIJの「IIJ GIOコンポーネントサービス」を採用。ソフトウ エアの作りを見直してコストを削減した
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 ソフトウエアのスリム化では、まずIIJ GIOの基盤について調査・検証した上で、データベース関連の各種パラメーターをチューニングした。プログラムのデータアクセス部分の記述についても、無駄がないかどうかを検証。また、新規に採用するミドルウエアに関しては、ミドルウエアに任せる機能を注意深く探り、プログラムの機能をそぎ落としていった。

 こうした努力の結果、パブリッククラウドへの移行で、ハードウエアとソフトウエア関連のコストを20%削減できた。このうち半分は、ソフトウエアのスリム化によるものという。

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