「Account Based Marketing(ABM)」とは、マーケティング活動を「アカウント」というより具体的な対象に括り直し、その観点からマーケティング活動を立案・実行する手法のこと。ただしABMでは案件の価値を高くするほど、対象顧客が限定されるため、事前のターゲティングとターゲットへの確実なコンタクトが必要になる。今回は、その実践に当たって必要な「PICF」、つまり「Priority(優先順位)」「Identification(識別)」「Coverage(カバレッジ)」「Frequency(接触頻度)」について解説する。

 筆者は最近、マーケターの皆様に話をする機会を頻繁に頂くようになりました。そうした場で多くのマーケターから、「渡したリードを営業がフォローしてくれない」という質問を受けます。

 具体的にいえば、

  • 「マーケティングオートメーション(MA)やWeb解析でお客様の行動をスコアリングして営業に渡しているが、営業がフォローしてくれない」
  • 「渡したリードに対して1回は訪問してくれるが、すぐに価値が無いとして継続してフォローしてもらえない」
という課題を抱えているマーケターも多いのではないでしょうか。

 こうした状況を生み出す原因として
「営業とマーケティングの間でリードの価値と生産性の定義の違い」
が挙げられます。

 多くの場合、「営業の追うリード(Lead)の価値」と「マーケティングの言うリードの価値」、「必要となる営業のリソースや生産性」にある隔たりが、大きな原因となることが多いと考えています。

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 今回はこの「隔たり」について、簡単な計算で把握する方法と、解決の考え方をご説明したいと思います。

営業の生産性を数字で表現する

 まずは、自社の営業活動と目標数字を以下の形で把握することから始めてみましょう。例えば、

  • 営業1名当たり年間3億円の売上が必要
  • 営業による週間顧客訪問件数は5回
  • 成約までに1社当たり平均3回の訪問が必要
  • 成約率は33%
とします。すると、売上目標達成のために必要な案件価値は9億円(売上目標3億円÷勝率33%)となり、実働を年間50週とすると年間250回の訪問が可能になります。

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