統合顧客データ基盤「CDP(Customer Data Platform)」を導入する企業を、日本で目にする機会が増えてきた。CDPとは多様な顧客接点から得られるデータを収集し、顧客情報などにひも付けて統合した上で、マーケティング施策を実行できるようにするプラットフォームである。
顧客データ解析ソリューションを提供する米ウェブトレンズ(Webtrends)の副社長を務め、現在はCDPを提供する米リティクス(Lytics)のCEO(最高経営責任者)であるジェームス・マクダーモット(James McDermott)氏に、CDPを中心とする米国のマーケティング動向と同社の製品について聞いた。
米国でのCDPの状況を教えてほしい。
企業は、顧客を全方面からとらえ、次の行動を起こすためのインサイト(大量データの分析から導く洞察結果)を得て、顧客にパーソナライゼーションした情報を届けて意思決定を促す――という3点に期待してCDPを導入している。
現在のCDPは、顧客データを統合するインフラに重きを置くIT向けのソリューションと、顧客ごとにパーソナライゼーションをしたり、複数キャンペーンを連携したりするマーケティング担当者向けのソリューションに大別できる。前者はティーリアム(Tealium)やセグメント(Segment)などが提供するもので、私たちのCDPは後者に当たる。
私たちは、マーケティング担当者の業務に即した支援機能と、マーケティング担当者が次に何をすべきかといったインサイトを提供する。マーケティング担当者は、収集した顧客情報を使って顧客ごとにパーソナライズしたマーケティング施策を実施することを難しいと考えている。こうした活動を支援するため、私たちは“マーケターのためのシステム”を2年がかりで開発した。
Webtrendsを経てLyticsを創業した背景は。
Webtrendsでは、収集したデータを基に多様な分析結果を提供することで、企業の意思決定を助けてきた。ここからさらに私は、担当者がマーケティング施策をすぐに実行できるところまで支援したいと考えるようになった。担当者の具体的なアクションを手助けするためにCDPが適していると考えて、この分野に取り組み始めた。
従来の分析ツールでは過去に何が起こったかは分かるが、それを受けて何をすべきかまでは分からない。マーケティング担当者がこうした機能を望んでいるため、機械学習や予測機能を取り込んで「この顧客にメールを送るべき」「この顧客にはアップセルを提案するべき」というように、具体的に次にどのようなアクションをすべきかを提案できるようにした。