VR(仮想現実)やAR(拡張現実)といった仮想空間を利用するための機器やソフトウエアが増えています。最近量販店などで、VRゴーグルなど仮想空間を利用するためのデバイスを見かける機会が増えているのではないでしょうか。
多くの人が利用しているWindowsも、既に現実空間と仮想空間を融合させる技術の総称であるMR(複合現実)に対応しています。ヘッドマウントディスプレーをPCにつなぐと、仮想空間上でWindowsを使えるようになっているのです。ただし、システム要件は一般のWindows PCとは異なります。そこで今回は、Windowsを搭載したモバイルPCでMRを試す方法を紹介します。
2017年秋の大型アップデートでMRに対応
WindowsでMRを利用するにはWindows Mixed Reality(以下Windows MRと略す)が必要です。これは、Windows 10 バージョン 1709(別名Fall Creators Update)から正式に利用可能になりました。このほかにWindows MRに対応するハードウエア(表示装置)が必要です。サードパーティのヘッドマウントディスプレー(Immersive Headset。以下Headset)と、マイクロソフトのHoloLensというゴーグル一体型のコンピュータの大きく2種類があります。
Headsetは、コンピュータからの映像出力を両眼ステレオ視で見るものであり、HoloLensは、透明なディスプレー上にコンピュータ画像を重ねて表示できるものです。ハードウエアとしては違いがあるものの、Windows MRではアプリケーションを共通化することもできます。もちろん、どちらかでしか動かないアプリを作ることも可能です。
Windows MRとは、簡単に言うと、HoloLensやHeadsetでのWindows環境です。HoloLensは常に現実世界が見えていますが、Headsetではデスクトップに相当する3次元の世界があり、その中からWindowsを利用できるのです。ただし、従来のWindowsのようにデスクトップが表示されるのではなく、3次元で動き回ることができる「家」の中にユーザーは置かれることになります。
ただしHoloLensは、現時点では開発者向けデバイスとして実験的な段階にあり、一般向けの製品としては発売されていません。このため、Windows MRを使うとなると、サードパーティの発売するHeadsetとPCを組み合わせて利用するしかありません。このとき、利用可能なPCには大きく「Windows Mixed Reality PC」(MR PC)と「Windows Mixed Reality Ultra PC」(MR Ultra PC)の2種類があります(下の表を参照)。
Windows MR PC(通常版) | Windows MR Ultra PC(高性能版) | |
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オペレーティングシステム | Windows 10 Ver.1709 (RS3) - Home/Pro/Business/Education (NバージョンおよびWindows 10 ProのSモードは対象外) | |
プロセッサ | Intel Core i5 7200U 2.5GHz/3.1GHz (第7世代モバイル) 2コア以上 | Intel Core i5 4590 3.3/3.7GHz(第4世代) AMD Ryzen 5 1400 3.2GHz/3.4GHz いずれもデスクトップ用CPU4コア以上 |
RAM | 8GB DDR3 dual channel | 8GB DDR3 |
GPU | 内蔵:Intel HD Graphics 620(1.05GHz)以上 外付け:GeForce MX150/GeForce GTX 965M以上、AMD Radeon RX 460/560以上 | GeForce GTX 1060以上の外付けGPU AMD Radeon RX 470/570以上の外付けGPU ※PCIe 3.0 x4+ Linkスロット利用 |
グラフィックスドライバー | Windows Display Driver Model (WDDM) 2.2 DX12必須 | |
ディスプレー出力 | HDMI 1.4 or DisplayPort 1.2 | HDMI 2.0 or DisplayPort 1.2 |
USB | USB 3.0 Type-A or Type-C | |
Bluetooth (モーションコントローラー用) | Bluetooth 4.0以上 | |
想定フレームレート | 60 Hz | 90 Hz |