スマートフォンの隆盛を前に、いずれ消え去ると思われたコンパクトデジタルカメラ。実は2016年から2017年にかけて、出荷量が回復基調にあります。なぜならこの辺りから、コンパクトデジカメのスマートフォン連携機能が“まとも”になってきたからです。
2017年はスマートフォン連携で持ち直した?
CIPA(カメラ映像機器工業会)が公開しているデジタルカメラの出荷統計によると、2010年からずっと減少を続けてきたデジタルカメラの出荷が2017年に増加に転じています。
デジタルカメラの総出荷量は、2010年をピークにずっと出荷量が減少していました。ミラーレスカメラ(CIPAの統計では「ノンレフレックス」と呼称)に関しては増加し続けていたものの、一眼レフとミラーレスを足した「レンズ交換式」カテゴリーで見ると2012年を境に減少を続けていました。
これが2017年に入ると変化を見せます。国内のミラーレス出荷が増加に転じ、出荷台数の多いレンズ一体型のコンパクトデジタルカメラ、いわゆるコンデジが持ち直したのです。
コンデジの市場は、スマートフォンの普及とともに縮小する一方でした。それまでカメラを買っていた人も、スマートフォンに内蔵されているカメラで写真を撮るようになり、さらにいえばネットワークへの接続機能が「写真を撮る」という行為の意味を変えてしまったのです。SNSに投稿したり、オンラインストレージに保存したりといった操作を初心者でも簡単にこなせるスマートフォン。それにデジタルカメラメーカーが追従できなかったというのが、デジカメ市場が縮む一方だった理由だと考えています。
おそらく2016年から2017年にかけて、今どきの「普通の人が写真を撮る」ことに対応したコンデジが登場し、ようやく減少に歯止めがかかったというところでしょう。
もっとも歯止めがかかったかどうかは、2018年以降の統計をみなければ分かりません。製品の出荷時期やその他の要因でたまたま2017年は増えただけなのかもしれないからです。