ITSMS(ITサービスマネジメントシステム)は、ITシステム部門の運用効率化、そして運用部門のコスト削減を目的に導入されることが多かった。そうした中、先進的なシステム部門はIT運用効率化やコスト削減を突き詰め、そこから新たな展開を生み出し始めている。ITSM(ITサービスマネジメント)の最新動向をまとめる本連載の第2回目は、ITSMSを企業の「IT戦略」に昇華させ競争力アップに結び付けた企業の事例を解説する。

野村證券はグローバル化のためITSMSを導入

 2015年6月、野村證券がITサービスマネジメントを世界規模で最適化したことが明らかになった。世界30以上に拠点を持つ同社は2014年4月に、SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)型のITSMSであるServiceNowを導入。世界中の約1万2000人の従業員に、24時間365日体制で提供しているITシステムを適切に運用し、そのサービス品質を向上させた。

 管理対象となったのは約2万台のサーバー、約2万4000台のクライアントPC、1500種類のアプリケーションからなるシステム。SaaS型のプラットフォームにより、グローバルで統一した管理が可能になった。

 同社では導入により、オンプレミスのツールに比べて年間2割のコストを削減できると試算しており、5年程度で投資を回収できるとみる。導入の効果としては、レポーティングのスピードと精度の向上を挙げた。障害の傾向と稼働率への影響、システム変更の件数や範囲といった重要事項をすぐに把握できるようになり、グローバルでのサービス品質向上や意思決定の迅速化に結び付けられたという。

 ITSMSの活用は、企業の考え方によって効果も異なってくる。以下ではITSMSを導入し活用する3社に直接話を聞き、その狙いと具体的な効果を整理した。

パナソニック インフォメーションシステムズ(パナソニックIS)
真の運用サービスを目指した共通化で全体最適へ

 パナソニック インフォメーションシステムズ(パナソニックIS)は、システムやインフラ構築の提案、開発、構築といった「システムソリューション」と、クラウドサービスやアウトソーシング、運用、保守などの「システムサービス」をグループ内外の企業に提供している。売り上げの約3分の2をシステムサービスが占めており、「顧客満足度の高い、“真の運用サービス”の提供」を目指してきた。

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