コールセンター業務のアウトソーシングや委託を請け負う「もしもしホットライン」では、徹底的な人対策を実践し効果を上げている。ポイントは、毎朝の「唱和」と、至る所に貼ったポスターだ。コールセンター業務という大量の個人情報を扱う業種であり、約1000人の社員、2万人もの契約社員を抱えながら、1987年の創業以来、一度も情報漏洩事件・事故を起こしていないという。

「重大な犯罪」と毎朝唱和

 同社の人対策のうち、最も特徴的と言えるのが「情報管理の誓い」の唱和だ(図A)。朝礼時に必ず社訓と共にこれを唱和(暗唱)する。これにより、情報管理の重要性がイヤでも頭に刷り込まれるようにしている。読み上げる誓いの文章も「私たちは、情報漏洩が重大な犯罪であることを認識しています」と強烈だ。「重大な犯罪」という強い言葉をあえて使っている。

図A●もしもしホットラインによる内部犯行防止の取り組み
図A●もしもしホットラインによる内部犯行防止の取り組み
徹底した教育により抑止効果を最大限に高める
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 情報管理のために実施すべきことや禁止していることを分かりやすく図解した大判ポスターの掲示も特徴的だ。こういったポスターの掲示自体は他社でも実施しているが、同社では、社内やコールセンター内の至る所に貼っている。できるだけ目に入るように、「どこにどのように貼るのか」もルールとして決めているという徹底ぶりだ。

 そのほか社員には、同社の情報管理規定などが書かれている「しおり」の携帯も義務付けている。

 加えて、オリジナルの教材を使った研修を社員全員に義務付けている。研修は毎年実施。役職ごとに部屋を分けるようなことはせず、社長を含めた全員が同じ研修を受ける。前年に起こった漏洩事件や最新のセキュリティ情報を入れるなど、毎年必ず内容を見直し教材を改訂しているという。社内で発生したうっかりミスなどの事例も、全社で必ず情報共有するようにしている。

 コールセンターで働く契約社員に対しては、入社時と3カ月ごとの契約更新時に研修を義務付けている。また、「本人だけでなく保証人からも情報保護に関する誓約書をとっている。もらえなければ一切個人情報を触らせない」(もしもしホットラインの小志田典彦 執行役員 人事・業務本部長(兼)人事企画部長)。同業界でもここまで徹底した人対策を実施しているケースはまれだという。