第5回では、インサイドセールスのインフラを理解するというテーマで、管理する情報/システムや周辺装置について説明しました。ここまで準備することで、実際にインサイドセールス活動を開始できる状態になっています。
今回は活動開始後、インサイドセールスを定着化/発展させるという視点から、インサイドセールスのトレーニングやキャリアパスについて説明します。
インサイドセールス担当者に求められる能力
インサイドセールスという用語をインターネットで検索すると、本来の用語解説や関連ニュースなどに混じって求人情報が多く表示されるようになってきました。その多くは外資系企業による求人ですが、日本企業からの求人も増えています。
外資系企業のインサイドセールスでは職務定義書(Job Description)として「仕事内容」「必要な能力」が細かく書かれているケースが多くあります。これに対し、日本企業のインサイドセールスの求人欄の「必要な能力」の部分には、あまり細かく書かれていないものが少なくありません。
そもそもインサイドセールスの必要能力は、訪問営業とは違うのでしょうか?
答えは違うとも同じともいえます。第2回 多岐に渡るインサイドセールスの活用タイプの中の図で説明したように、インサイドセールスのタイプ(顧客セグメントやポテンシャル)によって、果たす役割は訪問営業と同様だったり、違ったりというケースがあるからです。
ここで、インサイドセールスと訪問営業に共通して必要な重要な能力は、コミュニケーション力であると考えます。
図にセールスプロセスを遂行するために必要とされるコミュニケーション能力を示しました。特に上段の五つがインサイドセールスのために重要な能力であると筆者は考えます。
- 傾聴力:相手の話を遮らず、話を促すために効果的な質問をし、聞いた話を要約できる
- 質問力:仮説をもって、5W1Hを組み合わせて、様々な観点から質問できる
- 説明力:相手の特性、課題に応じて、用語を選択し適切にソリューションを説明できる
- 論理的思考力:フレームワークなどを用いて情報を筋道立てて整理できる
- 共感力:相手の言葉の真意を理解し、適切に対応できる