ソフトウエア主導でITインフラを制御する「ソフトウエア・デファインド」──大手製品ベンダーやシステムインテグレータが注力する一大潮流になってきた。サーバーやネットワーク、ストレージのソフトウエア化が推進力だ。人手を介さずにデータセンターを自動運転することが実現に近づく。「アプリ視点」で進化する、ITインフラの最前線を追った。

 ボタンを一つ押せば、サーバーやストレージを自動で割り振り、ネットワークの設定も完了。運用中にリソースが不足すれば、すぐさま自動で手当てしてくれる。そんな「全自動データセンター」が現実になりつつある。

 こうした自動制御の鍵を握るのが、ITインフラの“ソフトウエア化”だ。サーバーやストレージを仮想化して取り扱うことで、リソースの増減が容易に行える。ネットワークも、仮想スイッチや仮想ルーターを利用することにより、配線に縛られない設定作業が可能になる。

 ソフトウエア主導によるインフラ制御を進めた最終形が、「ソフトウエア・デファインド・データセンター(SDDC)」である。米ヴイエムウェアは、サーバー仮想化製品「VMwarevSphere」、ネットワーク仮想化製品「VMware NSX」、仮想ストレージ「VMware Virtual SAN(VSAN)」といった仮想化製品を組み合わせたSDDC戦略を前面に打ち出している。

 ヴイエムウェアのパット・ゲルシンガーCEOは「2年ほど前にSDDCのビジョンを発表してから、それを実現するための製品を着実に投入してきた」と話す(インタビュー記事「2年越しでSDDCが現実に」参照)。

 2014年8月に開催した、仮想化に関するイベント「VMworld 2014」では、同社のソフトを組み合わせた「VMware SDDC」を導入する三つの手法をベースに、推進に向けた施策を発表した(図1)。施策の一つとして、利用者を拡大するために、VMware SDDCを「OpenStack」に対応させた。もう一つ、VMware SDDCのソフト群をあらかじめPCサーバーに導入して提供する、ハイパー コンバージドインフラ「EVO ファミリー」を新規に投入した。

図1 SDDCの3手法を説明する、米ヴイエムウェアのパット・ゲルシンガーCEO
OpenStack対応、EVOファミリー投入でSDDCを推進
図1 SDDCの3手法を説明する、米ヴイエムウェアのパット・ゲルシンガーCEO
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 日本IBMも「Software Defined Environment(SDE)」を発表済みなど、ソフトウエア主導によるインフラ運用の自動化が、大きなトレンドになってきた。自動化を進め、コスト削減に寄与したり、アプリ開発のスピードアップを図ったりすることが、多くのベンダーにとって共通課題として浮かび上がってきたからだ。 

 SDDCを推進するヴイエムウェアの取り組みを中心に、全自動データセンターの最新動向を見ていこう。

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