日立製作所の「VSP Fシリーズ」(3モデル)は、オールフラッシュ構成に特化したミッドレンジクラスのSANストレージ装置である。「Hitachi Virtual Storage Platform」(VSP)の新たなラインアップとして追加した。既存の「VSP Gシリーズ」をベースに、オールフラッシュストレージに必要のない機能を省いてフラッシュ専用とすることで、低価格化を図っている。
既存のVSP Gシリーズは、ハードディスクも搭載できるがオールフラッシュ構成も可能なストレージである。これに対してVSP Fシリーズは、オールフラッシュ構成にとって必要のない機能群を省くことによって価格を抑えた機能下位版に当たる。最初からオールフラッシュ構成で使うのであれば、安価なぶんVSP GシリーズよりもVSP Fシリーズの方が優位である。
VSP Gシリーズから省略した機能は、主に3つ。(1)1つは、ILM(階層型ストレージ管理)機能である。オールフラッシュ構成なので階層化する必要がない。残りの2つはストレージ仮想化機能で、(2)1つは、VSPの配下にぶら下げた複数の異機種ストレージを束ねてプール化し、論理的に1台のストレージとして利用する機能、(3)もう1つは、2台のVSPで広域クラスターを組んで、これらを論理的に1台のストレージとして扱う機能である。
3モデルで構成する。「VSP F400」「同 F600」「同 F800」の3モデルで、それぞれ「VSP G400」「同 F600」「同 F800」をベースにしている。フラッシュストレージの容量は、最小構成時が6.4Tバイト(1.6Tバイトのモジュール×4台)で、最大構成時が307.2Tバイト(6.4Tバイトのモジュール×48台)。
VSP Fシリーズに合わせて、フラッシュモジュールも、新版の「Hitachi Accelerated Flash DC2」(HAF DC2)を用意した。VSP Fシリーズは、このHAF DC2を搭載する(VSP Gシリーズに搭載することもできる)。新版であるHAF DC2の最大の特徴は、フラッシュモジュール側でデータ圧縮機能を備えること。これにより、コントローラーにデータ圧縮の負荷をかけずに済む。
HAF DC2ではまた、従来版のHAFと比べてモジュール当たりの最大容量を3.2Tバイトから6.4Tバイトに倍増させた(最小容量は1.6Tバイトで共通)。モジュール専用シャーシに、最小4台から最大48台のモジュールを格納して使う。データ圧縮機能やモジュール容量の拡大などにより、VSP F800を従来モデル(Hitachi Unified Storage VM all flash)を同等性能と同等容量で比べると、価格性能比が約2.7倍に向上したという。
用途と機能 | オールフラッシュ構成専用の、ミッドレンジクラスのSANストレージ | ||
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特徴 | 既存の多機能SANストレージ「VSP Gシリーズ」をベースに、オールフラッシュ構成にとって不要な機能を省いて低価格化を図っていること | ||
省いた機能 | (1)ティアリング(階層化)機能 (2)複数の外部ストレージを束ねて論理的に1台のストレージに見せる仮想化機能 (3)拠点にまたがった2台のVSPを論理的に1台のVSPとして使えるようにする仮想化機能 | ||
フラッシュモジュール | 専用モジュール「Hitachi Accelerated Flash DC2」を使用。専用シャーシに最小4台から最大48台のモジュールを搭載する | ||
容量 | 最小構成時に6.4Tバイト(1.6Tバイトのモジュール×4台) 最大構成時に307.2Tバイト(6.4Tバイトのモジュール×48台) | ||
モデル | VSP F400 | VSP F600 | VSP F800 |
価格(税別) | 1740万円から | 2490万円から | 4060万円から |
発表日 | 2015年11月11日 | ||
出荷日 | 2015年11月17日 |