日立製作所の「JP1 Version 12」は、システム運用管理ソフト群である。運用管理の分野ごとに複数の製品をラインアップしている。例えば、システム統合監視、ネットワーク管理、ジョブスケジューラ、パフォーマンス監視、IT運用の自動化、インベントリ管理/ソフトウエア配布、データバックアップ、セキュリティ管理、サービスデスク、などの分野を広くカバーしている。

JP1/Client Process Automationで、RPA製品も含めた運用を自動化できる
JP1/Client Process Automationで、RPA製品も含めた運用を自動化できる
(出所:日立製作所)
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 現行版では、以前のJP1シリーズには無かった製品として、クライアント環境向けのジョブスケジューラ「JP1/Client Process Automation」をラインアップしている。これを使うと、クライアントPC上でのプログラムやプロセスを、条件やスケジュールに則って実行できる。

 RPA(ロボットによる業務自動化)ソフトを使った作業や、表計算ソフトを使ったデータ集計、ファイルやメールの送受信など、クライアント機で行う一連の業務をジョブフローとして定義し、自動で実行できる。ジョブフローを定義する際には、コーディングのスキルは不要。「いつ」と「何をどの順番で」実行するのかを、あらかじめ用意したアイテムをつなぎ合わせて定義するだけで定義できる。

 一方、「JP1/Automatic Job Management System 3 - Manager」(JP1/AJS3)は、業務システム全体のジョブスケジューラである。業務システムの一連の流れを構成する個々の処理をジョブとして定義し、このジョブを決められた順番や条件に合わせて実行する。複数の業務サーバーに分散したジョブを連携させたジョブフローを実現できる。個々のジョブとして、ジョブ記述言語で開発したジョブや任意のバッチスクリプト、Webサービスなどを利用できる。

 業務システム全体のジョブスケジューラであるJP1/AJS3とクライアント用のジョブスケジューラであるJP1/Client Process Automationを連携させることができる。これにより、基幹業務やRPAソフトを含めた企業全体の業務運用を自動化できる。連携のためのオプション機能として「JP1/Client Process Automation Option for Automatic Job Management System 3」を用意している。

 現行版では、システム統合監視ソフト「JP1/Integrated Management 2 - Manager」(JP1/IM2)も強化している。システムの稼働状況を監視する統合監視コンソールであり、WindowsのイベントログやUNIXのsyslog、業務の実行状況などの通知を収集し、一元的に監視する。別途SNMPマネージャを組み合わせることで、SNMPトラップも監視できる。

 JP1/IM2では、マルチクラウド環境など各種のIT環境を一元管理できる。また、システム上で発生するイベントだけでなく、システムの稼働情報や構成情報、市場にあるオープンデータなどを組み合わせて画面に表示できる。

 目的や立場に合わせて必要な情報を分かりやすく可視化する機能も持つ。例えば、経営者やIT部門の管理者向けに、全社を横断した業務プロセスを俯瞰的に把握する画面や、経営に直結する重要なシステムの稼働状況を把握する画面を提供する。IT部門の運用担当者向けには、システム間の関係性から運用状況を確認できる画面や、障害発生箇所や業務への影響範囲を把握できる画面を提供する。

JP1 Version 12の概要
用途と機能システム運用管理ソフト群。運用管理の分野ごとに複数の製品をラインアップしている。システム統合監視、ネットワーク管理、ジョブスケジューラ、パフォーマンス監視、IT運用の自動化、インベントリ管理/ソフトウエア配布、データバックアップ、セキュリティ管理、サービスデスク、などを広くカバーする
現行版の特徴クライアント環境向けのジョブスケジューラ「JP1/Client Process Automation」をラインアップしている。これを使うと、クライアントPC上でのプログラムやプロセスを、条件やスケジュールに則って実行できる
クライアント向けジョブスケジューラの特徴RPA(ロボットによる業務自動化)ソフトを使った作業や、表計算ソフトを使ったデータ集計、ファイルやメールの送受信など、クライアント機で行う一連の業務をジョブフローとして定義し、自動で実行できる。ジョブフローを定義する際には、コーディングのスキルは不要。「いつ」、「何をどの順番で」実行するのかを、あらかじめ用意したアイテムをつなぎ合わせて定義するだけで定義できる
価格(税別)JP1/Client Process Automation(クライアント用ジョブスケジューラ)は、9万8000円
JP1/Client Process Automation Option for Automatic Job Management System 3(クライアント用ジョブスケジューラのオプションで、業務全体のジョブスケジューラと連携させるソフト)は、98万円
JP1/Integrated Management 2 - Manager(システム統合監視ソフト)は、60万円から
JP1/Automatic Job Management System 3 - Manager(業務全体のジョブスケジューラ)は、27万円から
発表日2019年1月22日
販売開始日2019年1月23日
出荷開始日2019年1月31日(JP1/Integrated Management 2 - ManagerとJP1/Automatic Job Management System 3 - Manager)
2019年3月29日(JP1/Client Process AutomationとJP1/Client Process Automation Option for Automatic Job Management System 3)