「新しいテクノロジーを駆使して『デジタル・ビジネス』を推進せよ」で見たように、企業は、テクノロジーを活用することでイノベーションを起こす「デジタル・ビジネス」への対応を迫られている。
デジタル・ビジネスを推進していくうえで、非常に重要になるのが、実は「人の問題」である。テクノロジーを組み合わせた新しいビジネスを作るのも、そのサービスを利用するのも人。テクノロジーが進化するほど、人が重要になるのだ。
これから必要になるのは「人間系を理解できるタイプ」
では、IT部門では、今後どんな人材が必要とされるのか。
IT部門によくいる従来型の人材タイプは、「要件ありき」や「テクノロジーありき」で考えることが得意な、いわば「エンジニアタイプ」と言える。
これに対して、今後必要となる人材タイプは、人間系を理解できるタイプだ。テクノロジーが抱えるリスクや危険性など、テクノロジーを利用する人の要素を考慮しながら、テクノロジーをどう活用すればいいか、を考えられる。さらに、人と人との間で振る舞える(コミュニケーションをとりながら、きちんと人に伝えられる)人材タイプだ。
IT部門の従来型の人材タイプが今後生き残るためには、二つの道に進むしかない。一つは、よりテクノロジーに特化した人材である。システム開発・運用に関連した今までのテクノロジーだけではなく、3DプリンタやIoT(モノのインターネット)などの新しいテクノロジーを使いこなしたり、組み合わせられる人材だ。もう一つは、上で述べたような、「人の視点」を持った、人間系を理解できる人材である。
ただし、デジタル・ビジネスに適した、こうした新しい人材は、まだまだ少ない。実際、2013年8月にガートナーが実施した、日本のユーザー企業を対象にした調査では、「新しいことをやるときに、人を確保するのに苦労する」と答えたユーザーは、半数以上に上る。