IoT(モノのインターネット)/IoE(すべてのインターネット)や3Dプリンタ、スマートマシンといった、新しいテクノロジーが市場で広く注目を集めるようなった。すでに頻繁に議論されているモバイル、クラウド、ソーシャル、情報とビッグデータに、こうした新しいテクノロジーが相まって、ビジネスへの活用が進み始めている。こうした「デジタル・テクノロジー」は、市場に一時的な変化をもたらしているだけではない。マクロな視点で見れば「企業のビジネスが世界的に大きな変革期を迎えている」と言った方が正しい。ガートナーでは、このデジタル・テクノロジーで変革されたビジネスのことを、「デジタル・ビジネス」と呼んでいる。
IT部門が主体となって、業務部門を巻き込め
図に、デジタル・ビジネスの位置づけを示す。図に示すように、デジタル・ビジネスとは、「テクノロジーの活用度合い」と「ビジネス・イノベーションの度合い」がともに非常に高いビジネスを指す。
もちろん、テクノロジーによるイノベーションは、これまでもあったが、今後は、イノベーションのスピード感やスケール、メリットがさらに大きくなる可能性がある。このため、「テクノロジーをいかにビジネスに活用していくのか」というテーマが、今よりも、さらに浮き彫りになってくるだろう。
IT部門は、テクノロジーのプロフェッショナルとして、ビジネスへの貢献を期待されている。これこそが、IT部門の存在意義だ。今後は、IT部門が主体となって、業務部門を巻き込みながら、デジタル・ビジネスを推進することが重要になる。
しかし、残念ながら、日本企業のIT部門と業務部門の連携ができているかと言えば、その実態は厳しい。ガートナーの調査によると、「IT部門と業務部門が密に連携している」と答えたユーザーは、3割にも満たない。一方で「信頼関係が薄い」「仲が悪い」と回答したユーザーが残り7割である。これは、IT部門の一人ひとりに閉じた問題とせず、経営問題ととらえて、今後真剣に解決策を考える必要がある。
「どう進めるか」を具体的に考えていくフェーズに入った
ガートナーが国内で実施した調査で、「2020年までにデジタル・テクノロジーで日本企業の製品やサービスのあり方が大きく変わる可能性がある」と回答した割合は84.7%に達する。この数字は予想以上に高い。デジタル化の流れは、日本でもできている、と言えるだろう。
また、「デジタル・テクノロジーでビジネスの変革を進めるべきか」という質問には、76.0%の回答者が「ぜひ進めるべき」と回答している。テクノロジーが持つポテンシャルの理解も進んでいる。
あとは、「どうやって進めるか」を具体的に考えていくフェーズになってきた。「デジタル・テクノロジーなんて関係ない」「IT部門は運用だけやっていればいい」といった考え方は、もはや、ありえない。