タブレットならではの機能を生かした用途の拡大を図っていく

 運用が始まったばかりのタブレット画像参照システムだが、すでに今後の新たな展開についての構想が進められている。方向としては大きく2つ。セキュリティの強化と、用途の拡大だ。「今は、院内Wi-Fiでの利用に限定しているが、将来は院外での活用も可能なセルラー式のタブレットも導入したい。院外使用に向けた新たなセキュリティ対策も必要になるだろう」と中島氏は指摘する。

 現在はIDとパスワードによってログインを制御しているが、院外に持ち出すことを考えると、紛失や盗難といったトラブルに備えて生体認証を取り入れるなどセキュリティレベルを上げなければならない。また、最も大事な画像データ自体を短時間で自動消去する仕組みも必要だろう。また通信環境としてもVPNやモバイルデバイスマネジメントなど、よりセキュアな仕組みが求められる。

図3●現在のログイン画面。今後はセキュリティをさらに高め、院外で活用できるようにする構想もある
[画像のクリックで拡大表示]
図3●現在のログイン画面。今後はセキュリティをさらに高め、院外で活用できるようにする構想もある

 セキュリティレベルが上がれば、院外での活用範囲も広がる。帰宅するなどして院外にいるベテラン医師が、画像を見ながら若手医師に応急処置を指示することもできる。「特に参考にしたモデルはなかったが、DICOMのデータを見られるシステムは少ない。ワンタッチで画像の濃度を自在に変える、部分的に拡大するといったタブレットならではの利便性もある。今後も適用領域を拡大すべく考えていきたい」と中島氏。

 北見赤十字病院は地域の中核病院であるだけに、関連病院との連携にこのシステムを活用できる可能性も広がる。ITが医療の現場を変える好例として注目したい。 

北見赤十字病院の概要
所在地:北海道北見市北6条東2丁目
開設:1935年11月
院長:吉田茂夫
病床数:559床
医師数:98人