外出先や自宅でモバイルワークができれば、移動時間を減らして顧客との接触を増やせる。一方で「上司や同僚とのコミュニケーションが減るのでは?」という心配も。先進企業の取り組みに学ぼう。

訪問強化で見込み客数4倍超に
パークジャパン(駐車場運営)

 駐車場の運営・管理を手掛けるパークジャパン(東京・渋谷)は営業担当者に米アップルの「iPad mini」を配布し、顧客の掘り起こしに活用している。営業担当者は移動などのすき間時間に、ITベンチャーのオークニー(横浜市)が提供する営業支援サービスを使って、顧客の訪問計画を立てている。

 パークジャパンがモバイルワークの推進で狙うのは、地主である顧客とのつながりを深めることだ。新たに導入した営業支援サービスは地図と連動しており、訪問先の場所がひと目で分かる。このため、短時間で効率的な訪問計画を立てられる。

 成果も出ている。営業担当者の訪問件数は大きく伸び、1人当たり週5件の見込み客を獲得できるようになった。従来は月に5~6件の見込み客しか獲得できない営業担当者もいたので、4倍超に増えた計算だ。パークジャパン営業部営業推進課法務 広報担当の新藤晴人氏は「収益にも着実に貢献している」と話す。

●パークジャパンはモバイルワークを推進し、見込み客を大幅に増やした
●パークジャパンはモバイルワークを推進し、見込み客を大幅に増やした
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 営業担当者同士が顔を合わせる機会が少ないと、ほかの社員との同行訪問や、顧客の引き継ぎなど、営業担当者同士がフォローし合う体制をうまく作れない懸念もある。こうした問題を解決するのに役立っているのが、顧客を分類し、チームでフォローすべき顧客を見える化することだ。

 パークジャパンでは顧客を営業活動のステータスに応じて6つに分類し、顧客情報として登録している。「S」が「契約書を交わす準備に入った」、「A」が「1カ月以内に契約を結ぶ可能性が高い」という具合だ。

 ここで鍵になるのは、「案件としての魅力は高いが、うまく関係を作れていない」という「C」の顧客。Cの顧客は関係構築までに時間がかかるため、営業担当者の足が遠のきがちだ。

 そこで、営業担当者が3カ月以上訪問していない顧客を自動的に「D」に分類し、どの営業担当者が訪問してもいいようにした。最初の担当者の足が遠のいても、ほかの担当者がしっかりフォローすることで成約の可能性を高めている。

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