社会人になれば、いろいろな教育を受ける。新入社員なら敬語の使い方や電話の取り方、名刺交換の作法などを習うだろう。中堅社員に対しても、最近は研修制度が充実している企業は多く、仕事をしていく上で欠かせない知識を習得する機会は増えている。また、各仕事場ではOJTで先輩が後輩に仕事を教え、若手社員を少しでも早く戦力にしようとしている。

 しかし、そんな現在でも、“忘れられている”ビジネススキルがある。“忘れられている”というのは、ビジネスパーソンであれば現場で必ず使うのに、教えてもらう機会がほぼない、という意味だ。つまり、「誰も教えてくれないが、身につけないといけないスキル」である。

どんな業界・業種でも求められるスキル

 その代表は「考えるスキル」だろう。仕事で上司から「ちゃんと考えろ」と言われたことがある人は多いと思う。「考える」というのは、どんな業界・業種でも、ビジネスの現場で求められる。

 ところが日本の学校教育で「考える方法」を教わることはほぼない。社会人になってから「今日は考え方を教えよう」ということは、まずない。でも、さまざまなビジネスシーンで「考える」ことが求められる。

 「考えるスキル」についていうと、「ロジカルシンキングなら研修で受けた」という人がいるかもしれない。ただ、「ロジカルシンキングをなかなか使いこなせない」という人は少なくない。ビジネススキルに詳しいコンサルタントの芝本秀徳氏は、「ロジカルシンキングの前に身につけなければならないスキルがある。それが考えるスキルだ。考えるスキルが身についていなければ、ロジカルシンキングは使いこなせない」と指摘する(このあたりのことは以前の本コラムで書いたので、興味がある方はこちらを参照してください。関連記事:ロジカルシンキングを使いこなせない私)。