企業・組織でのマイナンバー対応の相談相手は、税理士・社会保険労務士などの「士業」が筆頭---。日経コンピュータ誌と日経BPコンサルティングが企画し3月末に実施したアンケート調査で、こんな結果が出たという(詳細はこちらの記事)。

 同調査では、マイナンバー対応作業の実施・実施予定・実施想定層618件に対し、外部の相談相手を複数回答で尋ねたところ、士業が41.6%でトップだった。2位以下の「取引している/付き合いのあるITベンダー」の29.4%、「所属する企業・組織の業界団体」の28.2%を顕著に上回った。特に、従業員100人未満の小規模な法人に限ると、士業に相談するという割合は58.4%とさらに高まる。小規模な企業は、マイナンバー制度への対応に関して、士業に頼るところが過半を占めるわけだ。

 一方、総務省と経済産業省の「経済センサス-活動調査報告(2012年)」によると、全産業の従業者約5584万人のうち、85%は従業員300人未満の中小規模事業所に属している。雇用する従業員一人ひとりについて、企業が社会保障と税に関わる法定調書や申告書にそれぞれのマイナンバーを記載して役所などに提出するマイナンバー制度では、全国民規模で制度が無事に離陸できるかどうかは中小規模の企業での対応がカギを握っている構図と言える。

 この中小規模の企業でのマイナンバー対応の第一の相談相手となる中心的な士業者が、税理士と社会保険労務士である。税理士は、企業の委託を受けて税務書類を作成したり、代理人として税務申告などを行ったりする際に、マイナンバーを取り扱う。一方、社会保険労務士は、医療・介護・年金・雇用・労災からなる社会保険の手続きを代行する際に、企業の従業員のマイナンバーを取り扱うことになる。ともに国家資格であり、税理士は約7万5000人、社労士は約3万9000人が登録されている。

 従業員5人未満の個人事業主には社会保険の加入義務がなく、実際に社労士による支援の対象となる企業は全体の4割程度にとどまる可能性もある。とはいえ、社会保険への加入義務がある法人(会社)に属する常用雇用者の割合は、全体の93%に達する(経済センサスによる)。税理士が法人の95%に関与していることも併せて考えると、税理士と社労士による企業支援がマイナンバー制度の離陸の成否を左右するのは間違いなさそうだ。