この連載では、「仕事を成功させるための思考術」を扱っている。前回は「発想が貧困でつまらない仕事」をテーマに、B社の上野主任の仕事ぶりに浮島課長補佐がダメ出しをする状況を紹介した。「失敗をもたらす10のダメ仕事」は次の通りである。
(1)目的が曖昧で作業手順がいい加減な仕事
(2)情報が不足し鮮度も悪い仕事
(3)他人をないがしろにする仕事
(4)素人の浅知恵で判断する仕事
(5)発想が貧困でつまらない仕事
(6)自分の考えに酔いしれる仕事
(7)社内調整が甘い仕事
(8)資料が非論理的で分からない仕事
(9)説明の辻褄があってない仕事
(10)思想も志も見えてこない仕事
今回も「発想が貧困でつまらない仕事」の続きを説明する。
「発想を豊か」にする方法
前回、「発想を豊かにする」には以下の四つが必要であることを説明した。
- 何事にも興味を持つという「好奇心」
- 興味をもった対象の中身をとことん知ろうとする「探究心」
- 対象の情報を集める「情報収集力」
- 対象を徹底的に多面的に自分のモノにしてしまう「理解力」
「発想が豊か」のベースにあるのは、「豊富で圧倒的な知識」だ。知識が大量に蓄積され、「何かを考えたとき、無意識を含めて関係する知識が脳から引き出される」状況を作ることが、「発想を豊かにする」ための必要条件になる。
この状態を作るために必要なのが(1)~(4)である。ただし、四つは全て同時に備えていないと効果が出ない。一部だけではダメなのだ。好奇心があっても探究心がなければ知識は蓄積されない。
また、探究心があっても情報収集力がなければ、やはり知識は蓄積されない。情報があっても理解できなければ、やはり知識の蓄積はない。「好奇心」「探究心」「情報収集力」「理解力」の四つがそろって、「発想の豊かさ」はもたらされるのだ。