日立製作所は2017年2月1日、2016年4~12月期の連結決算を発表した。売上高は前年同期比9.8%減の6兆5193億円、営業利益は同8.6%減の3731億円と、減収減益だった。日立物流、日立キャピタル、空調事業の再編と、為替が影響した。西山光秋執行役専務CFO(最高財務責任者)は「組織再編と為替の影響を除いた業績は全セグメントで増収増益だった」と話した。

日立製作所の西山光秋執行役専務CFO(最高財務責任者)
日立製作所の西山光秋執行役専務CFO(最高財務責任者)
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 事業部門別の業績は、「情報・通信システム」部門が営業利益を最も伸ばした。売上高は前年同期比7%減の1兆3973億円、営業利益は同142億円増の917億円と、減収増益だった。構造改革とプロジェクト管理の見直しにより、収益性が改善したという。

 西山CFOは「第3四半期累計(2016年4月~12月期)の営業利益率は過去最高で、構造改革の手応えを感じている。来期(2018年3月期)の予算編成に慎重に取り組み、この勢いを継続していきたい」と話した。日立製作所は中期経営計画にて、2018年3月期の営業利益率8%を目標にしている。

 収益性改善のために日立製作所が注力するのがIoT(インターネット・オブ・シングズ)のソリューション製品群「Lumada」だ。社外へ販売するだけでなく、社内でも活用して生産コスト削減を図る。西山CFOは「Lumadaの効果は出ているが、受注拡大や生産コスト削減などの全社業績への効果を把握できていない。来期予算を作る中で効果を整理し、KPI(主要業績指標)を出すことを検討している」と話した。

 日立製作所は2017年3月期通期の業績予想を修正した。売上高予想は据え置き9兆円(2016年3月期比10.3%減)、営業利益予想は200億円上方修正して5600億円(同11.8%減)とした。情報・通信システム事業は構造改革費用の追加予算など、約90億円を計上した。2016年4月~2017年3月期の構造改革費用は800億円の計画だった。

 日立製作所は合わせて、2017年4月1日付の組織体制を発表した(関連記事:日立、チーフルマーダオフィサーを新設、ICT事業統括本部を分割して他BUに統合)。注力する4分野に事業責任を持つ担当副社長を置き、14のビジネスユニット(BU)と「生活・エコシステム」、「オートモティブシステム」事業を合わせた16の組織を整理するという。