日立製作所は2017年2月1日、4月1日付の組織体制について発表した。IoTの提供基盤「Lumada」を使った事業拡大を進める「Chief Lumada Officer(チーフルマーダオフィサー)」を新設するほか、電力・エネルギー、産業・流通・水、アーバン、金融・公共・ヘルスケアの4つの分野に事業責任を持つ担当副社長を置く。ITプラットフォーム事業などを手掛けるICT事業統括本部を分割して、サービス&プラットフォームビジネスユニット(BU)と公共BUにそれぞれ統合する体制変更も明らかにした。

日立製作所が発表した2017年4月1日付の新体制図
日立製作所が発表した2017年4月1日付の新体制図
出所:日立製作所の発表資料
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 2月1日付で新設したチーフルマーダオフィサーは日立によれば「事業のデジタル化を支援するチーフデジタルオフィサー(CDO)に当たる」。Lumadaを活用したIoTの成功事例を汎用化し、事業拡大を推進する。12のBUと、製品開発が主体のインダストリアルプロダクツBUにそれぞれ13人のチーフルマーダオフィサーを置いた。全社でのCLOを設置するかどうかについては明らかにしていない。

ICT事業統括本部は分割して統合

 日立は2016年4月に体制変更を実施している。原子力や電力、金融や公共などの顧客の業種別に12の「フロントBU」を設置した。それらのBUに対して、人工知能(AI)やIoT(インターネット・オブ・シングズ)などの技術を駆使して、横串で提供する「サービス&プラットフォームBU」を置いた。同BUはLumadaを開発する中核部隊である。

 サービス&プラットフォームBUと連携してLumadaの開発に加わっていたのがICT事業統括本部。2016年4月の体制変更で、旧情報・通信システム社から移行した部隊だ。

 旧情報・通信システム社は2016年4月に金融や公共、産業・流通向けのシステムソリューション事業をそれぞれ金融BUと公共BU、産業・流通BUに移行。それらに含まれていない事業部は全てICT事業統括本部に移行した。同本部は、情報・通信システム社分割後の組織の中で最大規模。2016年3月期の連結決算ではプラットフォーム事業の売上高は1兆194億円(IFRS:国際財務報告基準)。全社の約1割を占める。

 ICT事業統括本部のうちITプラットフォーム開発機能は2017年4月1日付で、サービス&プラットフォームBUに統合する。統合後の名称は「サービス&プラットフォームBU」。ICT事業統括本部のうち、社会インフラ分野向けシステムインテグレーション機能は公共BUに統合する。統合後の名称は「公共社会BU」となる。日立によれば「ICT事業統括本部の名称は無くなる」。

■変更履歴
 日立製作所からの申し入れにより厳密を期すため、第5パラグラフの記述内容を変更しました。記事公開当初、「金融や公共向けのシステムソリューション事業をそれぞれ金融BUと公共BUに移行」としていましたが「産業・流通」を追加しました。本文は修正済みです。 [2017/2/1 19:15]