米Amazon.comが海上輸送事業への進出を本格化させていると、複数の海外メディア(米The Verge米TechCrunchなど)が現地時間2017年1月25日、米Wall Street Journalの記事を引用して報じた。

 同社はすでに、中国の小売業者がAmazon.comのeコマースサイトで販売する商品の米国への海上輸送を始めている。こうした輸送事業はこれまで米UPSや米FedExなどが手がていたが、Amazon.comは今後これらの企業と直接競争することになり、自前の物流事業構築計画をさらに一歩前進させることになるとWall Street Journalは伝えている。

 英Reutersによると、Amazon.comは2015年に「Beijing Century Joyo Courier Service」と呼ぶ中国子会社を、非船舶運航業者(フォワーダー)として中国運輸省に登録した。これは自ら輸送船を保有しないが、通関や書類手続きなどを行って貨物輸送を取り扱う業者。Amazon.comはこれにより、中国から同国外への海上貨物輸送業務が可能になった。

 今回のWall Street Journalの報道によると、2016年10月以降、同社が取り扱った中国からの海上輸送コンテナ数は150超に上る。今月には、前述の中国子会社が、仕分けや貨物追跡といった業務についての料金を公開したという。

 なお、Amazon.comは約1年前に、同社の倉庫など米国における施設間で商品を輸送するために、自社ブランドのトラックを大規模導入すると発表した(関連記事:Amazon.comが数千台の輸送トラック導入 配送を効率化)。

 2016年8月には、「Amazon One」と呼ぶ自社ブランドの貨物航空機を利用した輸送業務を始めたことも明らかにしている(関連記事:Amazon.com、自前の貨物航空機の運航開始)。こうして同社はこれまで外部委託していた物流の中間業務を自社で手がけ、輸送業務の拡大とコスト削減を図っているとTechCrunchは伝えている。