サブスクリプション(従量・継続課金)型のビジネスを支援するソフトをSaaSとして提供しているZuora Japanは2016年10月13日、事業状況を説明する発表会を開き、直近のニュースとして東芝がIoTビジネスの課金基盤に同社のSaaSを採用したと発表した。

 サービス名称は「リレーションシップ・ビジネス・マネージメント(RBM)」。商品カタログ、見積もり、契約管理、課金設定、請求、レポートなど、サブスクリプション型ビジネスに必要な機能を一通り提供する(関連記事:「儲かるIoT」を実現、従量課金ソフトが相次ぎ登場)。製造業やクラウドサービス事業など世界800社以上のニーズを反映しているという。米セールスフォース・ドットコムのSFA(営業支援)/CRM(顧客関係管理)クラウドと連携できる。

リレーションシップ・ビジネス・マネージメント(RBM)の機能
リレーションシップ・ビジネス・マネージメント(RBM)の機能
(出所:Zuora Japan)
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 Zuora Japanで代表取締役社長を務める桑野順一郎氏は、RBMの直近の採用事例として、東芝を紹介した。東芝は、製品からデータを収集するIoT(インターネット・オブ・シングス)の仕組みによって、売り切り型の製品販売から従量課金型の販売へと転換を図っているという。このためのシステム基盤としてRBMを採用したとしている。

Zuora Japanで代表取締役社長を務める桑野順一郎氏
Zuora Japanで代表取締役社長を務める桑野順一郎氏
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国内20社強が利用、日本の商習慣も実装

 会見では、現在の事業状況も説明した。Zuora Japanは米ズオラの日本法人であり、2016年4月からRBMを国内提供している。販売代理店は三井情報(MKI)と日立ソリューションズの2社(関連記事:日立ソリューションズ、サブスクリプション事業を支援するSaaS「Zuora」を販売)。課金時の料金回収に当たってはGMOペイメントゲートウェイ(GMO-PG)が国内ユーザーに決済機能を提供している。

 日本語版では、Web画面を日本語化しているほか、「月末締めの翌月末払い」といった日本固有の商習慣もルールとして標準で搭載している。現在の国内ユーザーは20社強で、今後1年間で50社を目標に掲げている。

 RBMを作った理由について米ズオラの創業者兼最高経営責任者であるティエン・ツォ氏は「サブスクリプション管理システムの市場規模は2020年時点で10兆円以上だが、ERPではサブスクリプションに対応できない」と説明。RBMでは、サブスクリプション型のビジネスを短期に立ち上げられるほか、課金管理だけでなくユーザーの獲得や解約率を下げる仕組みなども提供するという。

 前提として、さまざまな業界でサブスクリプション型ビジネスが増えている、という状況がある。桑野氏は、いくつかの例を紹介した。自動車メーカーの米フォードは「自動車メーカーから移動サービスを提供する会社へと変貌する」と表明。国内企業もサービス業へとシフトしており、例えばIDOM(旧ガリバーインターナショナル)は定額クルマ乗り換えサービス「NOREL」を月額4万9800円で提供している。