韓国Samsung Electronicsの米国法人Samsung Electronics America(SEA)は現地時間2016年8月11日、高級キッチン機器を製造販売する米国のDacorを買収することで両社が最終合意に達したと発表した。今後DacorはSEAの100%子会社となるが、そのコーポレートアイデンティティーとブランドは維持し、業務体制や米国を拠点とする製造事業にも変化はないとしている。

 Dacorは1965年創業。本社はカリフォルニア州シティオブインダストリー。レンジやレンジフード、電子レンジ、ウォールオーブン、冷蔵庫、食器洗浄機、ワインセラー、ウォーミングドロワーなどを製造販売している。Samsungは声明で、高級家電市場におけるDacorの専門知識を生かすとともに、Dacorの北米における成功をさらに拡大していくとしている。

 米Wall Street Journalによると、Dacorは現在、米国、カナダ、メキシコで製品を販売しているが、Samsung傘下に入ることでその販路を他の国へ拡大する可能性があるという。

 Samsungは、クラウドサービスの米企業Joyentや、IoTプラットホームを手がける米SmartThings、モバイル決済技術の米LoopPayを買収しており、ここ数年で企業買収のペースを加速させているとWall Street Journalは伝えている(関連記事:Samsung、米国のクラウドサービス企業Joyentを買収へ)。

 そうした中、同社の消費者向け家電部門はスマートフォンや半導体の部門と比較し、目立たない存在だという。昨年の消費者向け家電部門の売上高はSamsungの全売上高のほぼ25%を占めたが、営業利益は全体の4.7%にとどまった。またその営業利益率は2.7%にとどまっており、極めて薄利だとWall Street Journalは伝えている(関連記事:SamsungのQ2決算はモバイル部門好調で増収増益、「Galaxy S7」がけん引)。