米Wal-Mart Stores(Walmart)は現地時間2016年8月8日、インターネット通販「Jet」を運営する米Jet.comを買収することで両社が最終合意したと発表した。両社の取締役会は同買収計画を承認しており、手続きは年内に完了する見込み。

 Walmartは、約30億ドルの現金に加え、約3億ドル相当のWalmart株式を支払う。Jet獲得により、顧客リーチを広げ、新機能を追加することで、米Amazon.comがリードするEC分野での地位確立を目指す。

 WalmartのDoug McMillon社長兼最高経営責任者(CEO)は「我々は、価格を下げ、品揃えを増やし、シンプルなショッピング体験を提供する方法を模索している。それは客の要望であり、Jet買収によってこうした優先事項をいっそう推進できると信じている」と述べた。

 Walmartは、買収後もJetブランドを維持し、Walmart.comとは別に、引き続き独自のショッピング体験と品揃えを提供する。また双方の技術を利用し、買い物客にとって時間とお金の節約になる新機能の開発にも取り組むとしている。

 Walmartによると、Jetは立ち上げ1年目で総流通総額(GMV)ランレートが10億ドル、取り扱いアイテムが1200万SKUを達成。都会層およびミレニアル世代を中心に利用者が増えており、1カ月当たりの新規利用者は40万人、1日当たりの処理注文数は2万5000件、登録企業および小売業者は2400以上という。

 Jetの共同創業者兼CEOであるMarc Lore氏は、日用品通販サイト「Diapers.com」「Soap.com」などを運営する米Quidsiの共同創業者でもある。Quidsiは2010年に米Amazon.comが買収した(関連記事:Amazon.com、ベビー用品のネット通販サイトを5億ドルで買収へ)。

 米New York Timesの報道によると、Jetは約1年前にサービスを開始。購入数に応じて価格を競合サイトより10~15%下げる仕組みにより、購入客に大量購入を促している。一方WalmartのEC事業は伸び悩んでおり、直近の四半期売上高はわずか7%増にとどまった。

 買収完了後、Lore氏は引き続きJetを率いるほか、WalmartのEC事業の責任者に就任するという(米CNETの報道)。

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