NECは2016年4月21日、同社の中では西日本地域で最も大きいデータセンター「NEC神戸データセンター」(写真1)を開設する。1500ラックを収容可能で、東日本のNEC神奈川データセンターに次ぐ規模である。クラウド用サーバールームとハウジング用サーバールームを備える。特徴の一つは、クラウド用サーバールームの壁面全体に相変化冷却ユニットを採用したこと。
建物は兵庫県神戸市の堅牢な地盤上にあり、免震構造を採用。非常時の給油ルートを確保しやすい立地であるほか、電源設備は72時間無給油で運転可能。セキュリティ対策では、入退場に顔認証システムを採用。外周部分は監視カメラと行動検知システムを組み合わせ、人物による不審な挙動を自動検知する。
特徴の一つは、クラウドサービス用サーバールームの壁面全体に、気化熱の原理を応用した相変化冷却ユニットを採用したこと(写真2)。これにより、他の空調方式と合わせて冷却効率を最大40%向上したという。データセンター全体のPUEは、設計値で1.18。
背景には、クラウドサービス用に高集積サーバー「Micro Modular Server DX2000」を使っており、ハウジング用サーバーと比べてサーバールームの排熱量が高くなるという状況がある。これを効率よく冷却するため、サーバールームの壁面全体に相変化冷却ユニットを設置した。
NECは2014年から、ラック背面に設置する相変化冷却ユニットを販売している(関連記事:NEC、ラックの排熱の5割を電力を使わずに気化熱で冷やす装置)。この技術を今回、ラック背面ではなくサーバールームの壁面に適用した形である。壁面設置型の相変化冷却ユニットは製品化しておらず、今回のNEC神戸データセンターが初めて導入した。