写真●相変化冷却ユニットの外観
写真●相変化冷却ユニットの外観
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 NECは2014年12月4日、ラックの背面に装着することによって、電力を使うことなく排熱を移動させられる冷却装置「相変化冷却ユニット」(写真)の販売を開始した。12月26日から出荷する。気化熱を利用して冷却し、室外で液化した冷媒を重力で元に戻す仕組み。一般的なシステムでは排熱の約50%を電力を使わずに室外へ運び出せるとしている。

 相変化冷却ユニットは、ラックからの排熱を奪うラック冷却装置である。ラック背面に取り付けて使う。ラックマウント機器からの排気が相変化冷却ユニットを通過する際に熱を奪い、これを室外に逃す。これにより、データセンター内に排出される熱を減らす。NEC神奈川データセンターの試算では、相変化冷却ユニットを導入した部分において冷却に必要な電力を30%削減したという。

 冷却装置内の冷媒が気化する際に熱を奪う仕組みである。気化した冷媒は、浮力によって配管を通って室外へ移動する。室外で熱を放出して液化し、重力で室内へ戻る。このように、電力を使うことなく循環する。ラック背面の受熱部を多段に構成して流路設計を最適化しているため、ラック内のサーバーごとに発熱量のばらつきがあっても冷却ムラを防げるとしている。

 ラックあたりの発熱量に応じて、30Kワット向けと15Kワット向けの2モデルを用意した。価格(税別)は、標準的な配管施工費を含んで、30Kワット向けの「相変化冷却ユニット(TYPE-A)」が800万円から、15Kワット向けの「相変化冷却ユニット(TYPE-B)」が550万円から。必要に応じて熱対策のコンサルティングも提供する。販売目標は、今後3年間で1000セット。利用可能なラックは、一般的な幅700ミリメートルまたは幅600ミリメートルのもの。