写真●セブン&アイ・ホールディングスの粟飯原勝胤執行役員システム企画部シニアオフィサー
写真●セブン&アイ・ホールディングスの粟飯原勝胤執行役員システム企画部シニアオフィサー
(写真:井上 裕康)
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 セブン&アイ・ホールディングスの粟飯原勝胤執行役員システム企画部シニアオフィサーは2016年3月11日、日経BP社主催のイベント「日経BP Cloud Days Tokyo 2016」で、自社の「オムニチャネル戦略」について講演した(写真)。「我々はネットビジネスを追求したいわけではない。先行している楽天やアマゾンとは異なる形で、商品を基軸とした新しいオムニチャネル事業を作り上げたい」と述べた。

 「オムニチャネル」は一般にネットと小売りを融合させた新しい業態を指す。セブン&アイは2015年11月1日、通販Webサイト「omni7(オムニセブン)」を開設した。コンビニエンスストアの「セブン-イレブン」やスーパーの「イトーヨーカドー」、百貨店の「西武」「そごう」など、グループの業態を横断する形で商品を販売する(関連記事:セブン&アイが「第三の革新」、オムニ戦略次の一手)。

「変化への対応」の延長線上にオムニチャネル

 粟飯原執行役員はセブン&アイがオムニチャネルに注力する理由について、「我々の経営哲学である『変化への対応』の一環だ」と説明した。セブン&アイはコンビニ業態の先駆者であり、環境の変化に応じて「公共料金収納」「コンビニATM」「セブンカフェ」などを同業他社より先に始めた。オムニチャネルもこの延長線上にあるという。

 セブン&アイのオムニチャネルの柱として「商品」「売場」「接客」の3つを挙げた。このうち、商品について、粟飯原執行役員は「リアル店舗で売れる商品をネットで買っていただくのも大事だが、ネットで売れる商品は少し違うことが分かってきた。ネットで売れるオリジナル商品を次々と出せるように、企画・開発を進めている。今年後半あたりにはいろいろな新商品を出す」と述べた。

 ネットで売れる商品の実例として粟飯原執行役員が挙げたのが、キャラクターをあしらった限定デザインの電子マネーカード「ワンピースnanacoカード」である。2016年1月に販売開始したが、当初用意した10万枚が1日間で完売。10万枚を追加販売し、今度は2日間で完売したという。

 omni7ではネット注文した商品の約7割はセブン-イレブンなどの店舗で受け取られている(関連記事:セブン&アイの久喜センターを見ずにオムニチャネルは語れない)。受け取りのために来店した顧客が店舗の商品をついでに買って帰る比率も高いという。こうした好循環を生み出すためにも、「ネットに合ったオリジナル商品が重要だ」(粟飯原執行役員)。