日本でオムニチャネルという言葉が使われ始めたのは、2013年ごろからである。「オムニ」とは「様々な」とか「あらゆる」という意味。企業が持つ複数の販売チャネルを融合する概念がオムニチャネルだ。

 オムニチャネルという言葉はここ2~3年で急速に普及したが、その日本でのきっかけを作り、そしてまた日本最大規模のオムニチャネルを実際に構築しているのは間違いなく、セブン&アイ・ホールディングスである。

 グループ傘下に、全国約1万8000カ所に店舗網を抱えるセブン-イレブン・ジャパンがあるセブン&アイは、国内で圧倒的な販売力を誇る。そのセブン&アイが「第二の創業」として掲げた新戦略がオムニチャネルだった。セブンイレブンに代表されるリアルの店舗網とインターネットを融合し、顧客にいつでもどこでも商品を提供できる体制を整えようとしている。

 そのオムニチャネルを現実のサービスとして具体化したものが、2015年11月にグランドオープンしたサイト「omni7(オムニセブン)」である。サイトの開設から既に4カ月が経ち、品ぞろえは当初の180万品目から早くも220万品目まで拡大した。その数はさらに増え続けており、2018年度までには600万品目まで増える見通しだ。受注も好調だという。

 ネット通販サイトが既に世の中にいくつもあるなかで、omni7の強みとなる特徴はどこにあるのか。それは大きく2つある。1つはセブン&アイ・グループ各社の商品をomni7のサイトからワンストップで購入できること。もう1つが、セブンイレブンの店舗で、注文した商品を受け取れることだ。もちろん、配送の際は宅配を選択することもできるが、家を不在にしがちの人なら、仕事帰りなどに近所のセブンイレブンに立ち寄って商品を受け取れるメリットは大きいだろう。

商品はどうやってセブンイレブンまで届くのか

 では、omni7で注文した商品は、どのようにして全国のセブンイレブンまで届けられるのだろうか。今回はその話と課題を紹介したい。

 筆者は過去20年にわたり、ネット通販の取材を続けてきた。楽天やアマゾンジャパンの黎明期からネット通販の進化を見てきているが、取材の過程で毎回楽しみにしており、かつ最も重要だと感じているものは足回り、つまり物流だ。omni7も同様である。