フランスのパリで現地時間2015年11月13日、同時多発テロが発生し多数の被害者がでたことを受け、米Facebookは安否確認機能「Safety Check」をパリで有効にした。

 Safety Checkによって、パリにいるFacebookユーザーは自身が無事であることをFacebook上でつながっている友達や家族に知らせ、パリから離れているFacebookユーザーはパリの友人や身内の安否を確認できる。

 Facebookグロース部門担当バイスプレジデントのAlex Schultz氏が公式アカウントに投稿した記事によると、同機能について「愛する人の無事を知ることができて安心した」との声が寄せられているという。一方で、常にテロや戦闘などが日常的に発生し、痛ましい状況に晒されている場所は他にもあるとの批判的な意見も上がっている。

 Safety Checkは、2011年3月11日の東日本大震災をきっかけに早期バージョンが開発され、以来、昨年のネパール地震(関連記事)を含む自然災害の際に設置された。Schultz氏によれば、設置の判断は、災害の規模、範囲、被害などを基準にしているが、戦争や伝染病といった継続的な危機においてはSafety Checkの現在の形態では本当に無事なのか知ることは難しいと考えている。

 しかし今回、社内で検討した結果、自然災害以外で初めてSafety Checkを有効にすることを決定したという。Schultz氏は、今後Safety Checkに関するポリシーを変更し、将来、自然災害ではない重大な出来事でSafety Checkを設置する可能性を示した。

 またFacebookは、パリ市民の安全と平和を願う活動として、フランス国旗の3色(トリコロール)をプロフィール写真に実装する機能の提供も開始した。トリコロールを重ねたMark Zuckerberg最高経営責任者(CEO)のプロフィール写真には、多くの「いいね!」とコメントが寄せられている一方で、なぜシリアやパレスチナに対するサポートの気持ちは示さないのかといった意見も多数見受けられる。

 パリ同時多発テロの前日にレバノンのベイルートで連続自爆テロにより多くの人々が犠牲になったことを指摘するコメントに対して、Zuckerberg氏は「我々はすべての人々を等しく心にかけている。こうした状況で苦しんでいる人々をできる限り多く助けられるよう力を尽くす」と述べている(米TechCrunchの報道)。

 また「Twitter」では、パリで安全な場所を必要としている人、あるいは安全な場所を提供できる人がハッシュタグ「#porteouverte」(ドアは開いている)を使ってメッセージをやりとりしているほか、テロで犠牲になった人々への追悼を意味する「#prayforparis」(パリのために祈る)が多数ツイートされている(米New York Times)。